ジャズ、シャンソン、プログ・ロック、パンク、現代音楽、瞽女唄……あらゆる音楽に耳を傾け、その根源を問い続け、その実践は審美的なだけではなく、そのまま言語との闘争だった。最終巻は、デビュー原稿から思想論、絶筆までを網羅。講演、初期文集など、未発表原稿多数収録。
さらに冬へ旅立つために 間章著作集 III
間章
¥6,400 (税別)
デビュー原稿からシャンソン,ロック、思想論など絶筆までを網羅。
全3巻完結。
- 刊行年月: 2014.09
- 四六判(タテ190mm×ヨコ133mm)上製736頁
- 本体価格6,400円
- 18.8 x 13 x 19 cm
- ISBN978-4-86503-017-4
目次
essais 1969-72
シカゴ前衛派論
前兆又はシカゴ前衛派論の未明へ
開示又はエピグラフを含むジャズ円周率への接近
軌跡又は日本のジャズの未知なるものと自立への弁証法
断想(フラグマン)=省察又はジャズ・テーゼとしての終末論への螺旋下降
絢爛たる不在の中での底止なきカタストロフィー
オブジェとしてのジャズ 現象学的ジャズ考察の数章
闡明と現前 アトニー現象としての音楽共感文化の闇へ向けて
sur la chanson française 1972-78
ジャズと季節についてのメモ ブリジット・フォンテーヌ『ラジオのように』
残酷な感性 『ブリジットIII』
さらに冬へ旅立つ為に 『アレスキーとブリジット・フォンテーヌ』
調書 『アレスキー、イジュラン、フォンテーヌ』
お話——ひなげし 『ムルージ』
物語——あざみ ムルージ『小さなひなげしのように』
物語——半夏(はんげ) ムルージ『哀しみのアダージョ』
夜と雨の匂いの中で 『ムルージ、プレヴェールをうたう』
マルセルの枯葉 ムルージ『枯葉の街』
くちなし 『ジャン=ロジェ・コシモン』
お話——ヴァニラ 『ジャン=ロジェ・コシモン(2)』
青色の暗殺者 典雅な毒薔薇 ジョルジュ・ブラッサンス『黒い噂・雨傘』
放蕩児のデカダンスとロマンティシズム ゲンスブール小論
暗黒のシャンソン セリーヌの歌について
sur le rock 1971-76
たしかに「サマータイム」をきいた
All is Loneliness ジャニス・ジョプリン『チープ・スリル』
ビートルズ百科・映画編
ローリング・ストーンズ論のための視座と反定理 ローリング・ストーンズにおけるブライアンとその影
autour de Virgin 1974-75
一つの始まりと創造の円環について マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ』
「もう一つのロック・カルチュア」又は〈暗流〉について マイク・オールドフィールド『ハージェスト・リッジ』
“白日夢”とロバート・ワイアットの世界 破壊するための夢と破壊されるための夢をめぐって
不思議の国のロバート・ワイアット どぶ鼠の夢とその変容をめぐって
スラップ・ハッピー 奇想天外三人組
『White Noise 2』についての覚書
sur la musique contemporaine 1975-77
『星界のはて/Star’s End』をめぐって
ハッピー・エンディング テリー・ライリー
sur le rock allemand 1973-76
なしくずしの共和国 ヨーロッパの二ヶ月についての断想またはロックの変容とヨーロッパの解体
ロック[解体・再生]工房 教理・実習課程 ドイツにおけるロックの未分化な発現への眼差
ドイツ・ロック遊星群 ロックの異化から異化のロックへ
タンジェリン・ドリームの非境界宇宙と体験の構図そして旅
Voyage au “epsilonin malaysian pale” エドガー・フローゼ『青ざめた虚像』
転身の譜 夢の不可能性へ クラウス・シュルツェ『ブラック・ダンス』
意識体験の蟻地獄そしてカタストロフ 『タイムウィンド』のエスパスに関する覚書とそのエスキス
ファウストの悪夢と反世界 『ファウストIV/廃墟と青空』
CANをめぐるFragmentalなLecture and / or Rock MusicにおけるMulti-Media志向とTransformation 『闇の舞踏会』
もう一つのロック宇宙 『カングルー/グル・グル登場』
sur le punk 1975-79
ヘヴィ・メタル宣言 その生き方と関わりかた、そして現在
火気厳禁 ガソリン
BeggarsとHard Treatmentへの断片的なメモとモノローグ
ニューヨーク地下王国の夏そして白夜 まばゆいモルグ(死体置場)からのイマジナリーなレポート
ニューヨーク・アンダーグラウンドの廃墟と深い“夜”または都市ゲリラの“朝” パンク・ロック論のための覚書
廃墟と亡びのアナーキストそして“夜”の子供達 ヴェルヴェット・アンダーグラウンド試論
アナーキズム遊星群
セリーヌとパンク・ロック/ロートレアモンとマーク・ボラン/アナーキーな記憶のなかの人たちと僕はランチに出かけてゆく/ルー・リードのアナーキー
sur les Goze 1972-73
「瞽女・姻」公演に当たって
名状しがたい明るさ 瞽女唄のレコード化に寄せて
来たよで戸がなる 出てみりゃ風だよ 『越後の瞽女唄』
comptes rendus 1970-79
ディスクレヴュー1970-71
世界的蓄音盤1976-78
“意味”の権力とそして漂着物と排泄物のさなかで /音楽の流れからみた“パンク・ロック”の現象と意味について/「虚栄の市」としてのライナーノーツの仮死の身ぶりについて/「突然フルーツサンドで終るお話」/今から次の年への呪い
ディスクレヴュー 1978-79
écrits divers 1971-79
存在の終末としての休暇(ホリデイ)
自由空間
地獄論 その1 CMCの個々そして未知の人へ
城は流れる 季節(しじま)が見える 『エクリプス』二号への長いまえがき
北一輝 私の気がかり
半夏舎設営の言辞
半夏舎第二宣言 未知の人々との戦列群成へ向けてのアピール
即興演奏へのお誘い
散歩・ジャズ・カザノバ
私のこの一枚 『Céline chante Céline』
モルグ発刊の辞
〈即興〉ノート
死体置場のメモワール
フィルムと死体置場
conférence 1978
二〇世紀 音とのKONTAKTE(接触) 同志社大学講演会一九七八年一一月二六日
premiers écrits 1968-70
愛をくぐる詩(I) 十月の橋上の死者Yに
虚構の崩壊から失語の彼方へ 「愛をくぐる詩」について
前衛ジャズの空間 ジャズにおける情況論と情念論へのアプローチ
私から詩へ詩から私へ いかにして私は詩とはぐれそして詩と出会うか
炎の詩編
二重の黙示 自註としてのノート
走る町
封印
刺青の午後
殉難と廃疾 戦後の詩と詩人たち
編集ノート 須川善行
初出一覧
年譜
総目次
人名・グループ名総索引
紹介記事
- Keisuke Kagiwada氏書評(「POPEYE」2016年9月号「JJとAAの勉強」)
- 椹木野衣氏書評(共同通信配信2014年12月28日各紙掲載「読書」欄「今年の収穫 アート」)
- 椹木野衣氏書評(「ケトル」2014年12月号「REVIEW」欄)
- 山崎春美氏×渡邊未帆氏対談(「図書新聞」2014年12月6日号「再考一九七八——いま、間章を読むとはどういうことなのか」)
間章(あいだ・あきら)
一九四六年八月十八日、新潟県生まれ。音楽批評家。立教大学中退。在学中より批評・コンサート制作活動を開始。音楽雑誌、新聞、ライナーノートなどに、幅広い教養と独自のレトリックを駆使した文章を発表し、音楽批評にとどまらぬ多方面に大きな影響を与えた。七二年、新潟でフリー・ジャズ、フォーク、ロックから日本の伝統音楽までを網羅する現代音楽祭「自由空間」を開催。その後も、阿部薫、土取利行、近藤等則らとの共同作業や、スティーヴ・レイシー、ミルフォード・グレイヴス、デレク・ベイリーの招聘など、フリー・ジャズ・ミュージシャン、インプロヴァイザーとの実践的なかかわりを深めていった。一九七八年十二月十二日、脳出血により死去。享年三十二。没後に刊行された著書に、『時代の未明から来たるべきものへ』(イザラ書房版、一九八二年)、『非時と廃墟そして鏡』(深夜叢書社、一九八八年)、『この旅には終りはない』(柏書房、一九九二年)、『僕はランチに出かける』(同、一九九二年)。