ネグリ以後のイタリア現代思想を代表する論客ヴィルノの本邦初訳!
「マルチチュードとは〈多数的なもの〉あるいは複数性を意味します。それは、国家という〈政治的決定の独占〉に身を任せることなく 公的領域のなかで協力して行動する各人の総体のことを意味するのです」。
『〈帝国〉』ではその由来が明示されなかった最重要概念を講義形式で明瞭に解説。
国家に従属する「人民」概念との鋭い対立のもと、スピノザの『国家論(政治論)』において「マルチチュード」概念は生まれた。 それは、大量生産と大量消費の時代を過ぎ越し、資本主義社会への隷属と抵抗のはざまに生きている現代人の生の実態を明かすキーワードでもある。 注目の書、ついに発売!
原著 [イタリア]: “Grammatica della moltitudine: Per una analisi delle forme di vita contemporanee” 2001 ,Rubbettino / 2002, Derive Approdi.
目次
日本語版のための序文
序章 人民vsマルチチュード—-ホッブズとスピノザ/追い払われた複数性—-「私的なものと」と「個的なもの」/《多数的なもの》への三つのアプローチ
第一章:懸念と防御(一日目)怖れと不安という対の彼方へ/共有のトポスと「general intellect」/公的領域なき公共性/ 《多数的なもの》のための《一者》とは?
第二章:労働、行動、知性(二日目)ポイエーシスとプラクシスとの併置/ 名人芸について—-アリストテレスからグレン・グールドへ/パフォーマンス芸術家としての〈話す存在〉/文化産業—-先取とパラダイム/ 舞台上の言語活動/労働における名人芸/楽譜としての知性/《国家理性》と《脱出》
第三章:主体性としてのマルチチュード(三日目)個体化原理 /曖昧な概念—-生政治/マルチチュードの諸々の気分/世間話と好奇心
第四章:マルチチュードとポストフォーディズム的資本主義についての10のテーゼ
付録:パオロ・ヴィルノ インタビュー「両義的な条件—-〈general intellect〉・脱出・マルチチュード」
訳者あとがき