『存在と時間』の仏訳者による高名なハイデガー研究(1942年)の待望の初訳。同書全体の詳細な註解に加え、『形而上学とは何か』『根拠の本質』『ヘルダーリンと詩作の本質』『芸術作品の根源』の解説を収録するほか、フッサール、ヤスパース、ディルタイ、キルケゴール、ニーチェとの比較考察なども充実。フランスにおけるハイデガー受容初期の金字塔にして、今なお最良の入門書のひとつ。シリーズ・古典転生、第23回配本、本巻第22巻。
「われわれは『存在と時間』のうちに、こうした実存論的哲学とは対照的に、或る実存的哲学も一緒に見出す。この実存的哲学は、引き受けられた有限性の経験でありたいと望み、またそれを記述したいと望む。最後に、また『存在と時間』以降の時期に、ハイデガーはニーチェ的な傾向をもつ哲学をわれわれに提示する。そしてこの哲学は、大地への下降的超越のうちに、それでもやはり耐えがたい有限性のための救済策を探している」(本文より)。