コレクティフ サン・タンヌ病院におけるセミネール
ジャン・ウリ

¥3,800 (税別)

多賀茂/上尾真道/川村文重/武田宙也[訳]

「病院の病気」を治す「制度を使う精神療法」の理論と実践の書。

  • 刊行年月: 2017.11
  • 46判上製424頁
  • 本体価格3,800円
  • 19 x 13 x 2.6 cm
  • ISBN978-4-86503-053-2

人びとが集団を形作りながら個々の特異性を尊重するための、「ほんのちょっとしたこと」とは何か。それは、私たちに何をもたらすのか。「コレクティフ=人びとが集まること、動くこと」をめぐる思索と対話。
ラカンらの理論から紡ぎ出される思考を土台とする精神病治療の日常的実践について考察したこのセミネール(1984年9月〜1985年6月)の記録は、社会の様々な場面に存在する「疎外」に抵抗するための、何らかのヒントを私たちに与えてくれるだろう。「病院の病気」を治す「制度を使う精神療法」の理論と実践の書。

写真・装幀:田村尚子

原書: LE COLLECTIF : Le Séminaire de Sainte-Anne, Préambule à la nouvelle édition de Michel BALAT, Préface de Pierre DELION, Champ Social Éditions, 2005

目次

はじめに(多賀茂)
序文
一九八四年九月十九日
一九八四年十月十七日
一九八四年十一月二十一日
一九八四年十二月十九日
一九八五年一月十六日
一九八五年二月二十日
一九八五年三月二十日
一九八五年四月十七日
一九八五年五月十五日
一九八五年六月十九日
補遺
序文(ピエール・ドゥリオン)
新版のための前置き(ミシェル・バラ)
後書き(多賀茂)
索引

 

 

紹介記事

  • 松本卓也氏短評(「図書新聞」2017年12月23日号「17年下半期読書アンケート」)

ジャン・ウリ(Jean Oury)
1924−2014。フランスの精神科医・思想家。20世紀後半のフランス精神医療に大きな貢献を残した人物。とりわけ「制度を使う精神療法」の主導者のひとりとして、1953年以来自身が院長を務めるラ・ボルド病院において、患者やスタッフとともにその実践に取り組んできた。また同時にパリのサン・タンヌ病院において1981年以来月1回のセミネールを行い、同運動の基盤となる思想について語り続けた。J・ラカンの最も重要な理解者のひとりでもあった。本書の他、邦訳に『精神医学と制度精神療法』(三脇康生監訳、春秋社、2016年)、また主要な著作として、サン・タンヌ病院でのセミネールの記録L'Aliénation : Séminaire de Sainte-Anne, 10e anné, Galilée, 2012(1992)、ラ・ボルド病院でのセミネールの記録Les séminaires de la Borde 1996-1997, Champ social, 1999、論文、小文、講演などを集めたOnze heures du soir à La Borde Éssais sur la psychothérapie institutionnelle, Galilée, 1980、数多い対談集のひとつA quelle heure passe le train... Conversations sur la folie (avec Marie Depussé), Calmann-Lévy, 2003などがある。

訳者:
多賀 茂(たが・しげる)
1957年生。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。パリ第4大学PhD。専門はミシェル・フーコーをはじめとするフランス思想と精神医学史。著書に、『イデアと制度 ヨーロッパの知について』(名古屋大学出版、2008年)、『医療環境を変える 「制度を使った精神療法」の実践と思想』(共著、京都大学学術出版会、2008年)、『なぜ、人は宇宙をめざすのか 「宇宙の人間学」から考える宇宙進出の意味と価値』(共著、誠文堂新光社、2015年)などがある。
上尾真道(うえお・まさみち)
1979年生。京都大学大学院人間・環境学研究科単位取得退学。博士(人間・環境学)。現在、滋賀県立大学など非常勤講師。専門は精神分析・思想史。著書に『ラカン 真理のパトス』(人文書院、2017年)、『発達障害の時代とラカン派精神分析』(牧瀬英幹との共編、晃洋書房、2017年)、論文に「「運動」としての精神分析のために」『at プラス』(30号、2016年)、「フロイトの冥界めぐり——『夢解釈』の銘の読解」(『人文学報』109号、2016年)などがある。
川村文重(かわむら・ふみえ)
1972年生。慶應義塾大学商学部専任講師。京都大学博士(人間・環境学)、エクス-マルセイユ第一大学PhD。専門はフランス文学・思想史。著書にDiderot et la chimie : Science, pensée et écriture (Classiques Garnier, 2014年)、論文に「〈自由〉と〈専制〉の奇妙な結合――恐怖政治期における〈活力energie〉の語意の変容を通して」(『慶應義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学』第64号, 2017年)、『政治思想と文学』(共著、ナカニシヤ書店, 2017年)などがある。
武田宙也(たけだ・ひろなり)
1980年生。京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専門は哲学・美学。著書に『フーコーの美学――生と芸術のあいだで』(人文書院、2014年)、訳書にロベルト・エスポジト『三人称の哲学――生の政治と非人称の哲学』(岡田温司監訳、佐藤真理恵・長友文史との共訳、講談社、2011年)などがある。

写真・装幀:
田村尚子(たむら・なおこ)
写真家。写真集に、ラ・ボルド病院の日常を撮影した『ソローニュの森』(医学書院、2012年)のほかに、『タウマタ』(タカ・イシイギャラリー、2015 年)、『Voice』(青幻舎、2004年)などがある。

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