『まっくら』以後、筑豊での性と階級が交差する闘いのなかから既成のものにかわる新たなる概念を生みだす格闘の軌跡。初版1963年現代思潮社刊。70年新装版の「あとがき」のほか、資料として「炭鉱の女」(1959-60)「道徳のオバケを退治しよう」(1959)を収録。解題:大畑凜「弁証法の裂け目」
非所有の所有――性と階級覚え書
森崎和江
¥2,400 (税別)
大畑 凜[解題]
- 刊行年月:2022年8月
- 46判並製368頁
- 縦188mm×横130mm
- 本体価格2,400円
- ISBN:978-4-86503-143-0
目次
〔無題〕
I
現代を織る女たち
人買組織と山の女房
隣家の美学
没落的開放の行方
大正闘争の今日的課題
毒蛾的可能性へ
大正炭鉱の女たち
ボタ山が崩れてくる
無職主義に蝕ばまれる筑豊の表情
破壊的共有の道
サークル村の一年と現在地点
非所有の所有
性と階級覚え書
スケッチ谷川雁
II
渦巻く
とびおくれた虫
新装版へのあとがき
資料篇
炭鉱の女
道徳のオバケを退治しよう へそくり的思想をめぐって
解題 弁証法の裂け目(大畑凜)
校異・補訂
森崎和江(もりさき・かずえ)
1927年4月20日、日本統治下の朝鮮・大邸生まれ。1944年2月福岡女子専門学校入学。朝鮮を離れる。詩人、丸山豊(1915~89)主宰の「母音」同人参加。52年結婚。58年筑豊に移り、上野英信、谷川雁らと「サークル村」創刊。59年「無名通信」発行。2022年6月15日死去。主な著作に 『まつくら――女坑夫からの「聞き書き』岩波文庫、『第三の性――はるかなるエロス』河出書房新社、『奈落の神々/炭坑労働精神史』平凡社ライブラリー、『からゆきさん』朝日文庫、『森崎和江コレクション 全5巻』藤原書店、ほか多数。
大畑凛(おおはた・りん)
1993年生まれ。大阪府立大学大学院博士後期課程。共著に『軍事的暴力を問う――旅する痛み』(青弓社、2018年)がある。