「あなたたちは知っていただろうか、苦しみには限りがないということを。恐怖には境がないということを」。ナチスによる夫の銃殺後、自身の強制収容所体験を経て、作家となったフランス人レジスタンス女性シャルロット・デルボー。「文学は、とりわけ詩は、アウシュヴィッツを語らずして何を語るのか」――彼女にとって証言することは、その苦痛を、消えない傷を、詩の言葉によって見えるようにし、感じるようにすることだった。散文と詩を織り交ぜて戦後すぐに書かれ、約20年のあいだ公刊されずにいた本書には、生きて戻ることのないはずだった著者の切実な声と、戻らなかった者たちの声の残響が刻まれている。
原著『Aucun de nous ne reviendra』 (Minuit, 1970)