物語昭和写真史
桑原甲子雄

¥2,400 (税別)

1930年代から80年代までの写真界と世相の回想記

  • 刊行年月: 2020.12
  • 46判上製仮フランス装384頁
  • 本体価格2,400円
  • 18.8 x 13 x 2.5 cm
  • ISBN 978-4-86503-106-5

写真誌の編集者として、写真家として、下町生活者として、昭和写真の現場を支え、見つめてきた著者による、1930年代から80年代までの写真界と世相の回想記。(「わが実感的戦後写真史」「カメラ雑誌とともに20年」「物語昭和写真史」(以上、単行本未収録)、「リアルタイム1930~1990」(未発表)、「私の写真史」を収録。)写真40点収録。

桑原さんの存在は、昭和の日本写真にとってかけがえのない示唆を与えてくれた。
そのさりげなくしなやかなスタンスは、後につづくぼくたちへ向けて多くのメッセージを伝えてくれた。(森山大道/帯文より)

目次


私の写真史
1 九つの石油ランプと十五分間の残酷な姿勢
2 写真を撮るものの不幸
3 〝美と頽廃の論理〟
4 『喜劇・阿部定』とスペイン戦争と
5 越前蟹と満州ロマノフカと
6 ニューヨークの日本作家展と戦後の青空


わが実感的戦後写真史
アパートの一室から第一歩
月例写真を目玉に新風を
カンフル注射したブレッソン
滑稽だった「原爆」のカーテン
幻想だったか戦後リアリズム
写真が燃えた季節とともに
カメラ雑誌とともに20年 戦後、デラシネ編集者の眼
第一期リアリズム
カメラブームの到来
ブレ、ボケ、アレ、破壊と創造の模索
新たな動揺の兆し


物語昭和写真史
1 『アサヒカメラ』創刊のころ
2 「光は今や西方より来る」
3 広告ページのおもしろさ
4 〝明治大正六十年の回顧〟
5 近代への模索―田村栄との対話
6 〝遊び〟としてのピクトリアリズム
7 安井仲治とともに
8 モダン・フォトグラフィーの上陸
9 「独逸国際移動写真展」の開幕
10 鈴木八郎―あるジャーナリストの足跡
11 木村専一の「欧米視察旅行記」
12 『光画』発刊前後のこと
13 浪花のスーパースター、小石清
14 ルポルタージュフォトの登場
15 マルチン・ムンカッチのあたえた波紋
16 「戦の庭に立つも立たぬも」
17 戦後―飢餓意識をしのぐ写真熱
18 「シャッター以前」を問う批評
19 『USカメラ年鑑』と海外ヌード・フォト
20 「裏日本」、VIVO、日本主観写真展
21 バーモント・ニューホールの『写真の歴史』
22 一九六〇~七〇年代の動き
23 「分枝状飾り模様」の八〇年代


過去形の中の未知に向って

年譜
初出一覧

 

桑原甲子雄(くわばら・きねお)
1913年台東区東上野生まれ。2007年逝去。隣家の友人濱谷浩の影響で、1930年代より上野、浅草など東京下町の写真を撮りはじめる。戦後、写真雑誌の編集に携わり、『カメラ』『サンケイカメラ』『カメラ芸術』『季刊写真映像』『写真批評』の編集長を歴任。写真集に、『東京昭和十一年』(1974)『満州昭和十五年』(1974)『夢の町』(1977、以上すべて晶文社)『東京長日』(朝日ソノラマ、1978)『東京1934-1993』(新潮社、1995)ほか。著書に『私の写真史』(晶文社、1976)。

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