バートルビー 偶然性について [附:ハーマン・メルヴィル『バートルビー』]
ジョルジョ・アガンベン

品切

高桑和巳[訳]

メルヴィルの小説「バートルビー」の読解を通じ、
哲学のポテンシャルを再発見する。

  • 刊行年月:2005.7
  • 46判並製カバー装、208頁
  • 本体価格2400円
  • 19cm
  • ISBN:4-901477-18-8

働かないのに事務所にい続ける青年バートルビー
〈する〉ことも〈しない〉こともできるという潜勢力の、西洋哲学史におけるその概念的系譜に分け入り、メルヴィルの小説「バートルビー」(1853年)に忽然と現れた奇妙な主人公を、潜勢力によるあらゆる可能性の〈全的回復者〉として読み解く。
小説の新訳を附す。

原著:”Bartleby o della contingenza” by Giorgio Agamben, 1993. / “Bartleby” by Herman Melville, 1856(1853).

目次

論考 「バートルビー  偶然性について」 ジョルジョ・アガンベン
小説 「バートルビー」 ハーマン・メルヴィル
解説 「バートルビーの謎」 高桑和巳
翻訳者あとがき

紹介記事

  • 小泉義之氏書評(「週刊読書人」2005年11月25日号)

ジョルジョ・アガンベン(Giorgio AGAMBEN)
1942年ローマ生まれ。ヴェネツィア建築大学(IUAV)美学教授。
エーコ(1932-)、ネグリ(1933-)、ペルニオーラ(1941-)、カッチャーリ(1944-)、ヴィルノ(1952-)らとならんで、イタリア現代思想を牽引する哲学者である。著書に、1970年『中味のない人間』(岡田温司・岡部宗吉・多賀健太郎訳、人文書院、2002年)、1977年『スタンツェ』(岡田温司訳、ありな書房、1998年)、1995年『ホモ・サケル』(高桑和巳訳、以文社、2003年)、1996年『人権の彼方に』(高桑和巳訳、以文社、2000年)、1998年『アウシュヴィッツの残りのもの』(上村忠男・廣石正和訳、月曜社、2001年)、2002年『開かれ』(岡田温司・多賀健太郎訳、平凡社、2004年)などがある。論文集『潜勢力』(英米語版1999年、伊語版2005年)や『涜神』(2005年)は月曜社より刊行予定。

著者:ハーマン・メルヴィル(Herman Melville, 1819-1891)
アメリカの作家。
主な作品に『タイピー』(1846)、『オムー』(1847)、『マーディ』(1849)、『レッドバーン』(1849)、『ホワイト・ジャケット』(1850)、『白鯨』(1851)、『ピエール』(1852)、『イズラエル・ポッター』(1855)、短編集『ピアザ物語』(1856)、『詐欺師』(1857)などの小説がある。旅行記作家としてデビューし好評を博したのも束の間、作風を変えた『マーディ』以後は不評続きで文壇から干され、大作『白鯨』も理解されず、『詐欺師』を機に自ら小説の筆を折った。その後は詩作に専念。詩集『戦争詩集』(1866)を刊行後、ニューヨーク税関の検査係を19年間勤めるかたわら、自費出版で長編物語詩『クラレル』(1876)、私家版詩集『ジョン・マーとその他の水夫たち』(1888)、私家版詩集『ティモレオン』(1891)などを刊行。早熟ゆえか、時代を先取りした才能ゆえか、長きにわたり不遇な作家であっただけでなく、詩人としても同時代人からはほとんど無視された存在だった。再評価の機運が高まったのは死後30年後。1922年から刊行が開始された著作集には遺作小説『ビリー・バッド』(1924)が収められた。その後、日記や書簡集が出版されており、大作家としての地位は揺るぎない。

訳者:高桑和巳(たかくわ・かずみ)
1972年生まれ。現在、慶應義塾大学理工学部専任講師。
論文に「ミシェル・フーコーと推理小説」(『現代思想』2003年12月増刊)、「その他の人々を見抜く方法」(『d/SIGN』第7号、2004年4月)ほか、訳書にジョルジョ・アガンベン『人権の彼方に』(以文社、2000年)、同『ホモ・サケル』(以文社、2003年)、カトリーヌ・マラブー編『デリダと肯定の思考』(共訳、未來社、2001年)ほか。

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