ライヴで対面が定義の一部だったはずの演劇や授業が録画・配信され、巣ごもり生活のなか、動画配信サーヴィスは飛躍的に登録者数を伸ばす――本特集は、コロナ禍によって前景化した「配信」をキーワードに、メディアと生政治を再考する。気鋭の演劇人による座談会では、現場と理論・歴史の両面からライヴ性、演劇、複製・配信技術の関係が問い直され、スタンリー・カヴェルの未翻訳論文は、テレビという媒体の考察を通して配信のメディア環境へと思考を誘う。生政治について刺激的な批評活動を行うポール・B・プレシアドは本邦初紹介。
表象15
品切
特集:配信の政治――ライヴとライフのメディア
- 刊行年月:2021年5月7日発売
- A5判並製240頁
- 本体価格2,000円
- ISBN:978-4-86503-113-3
目次
◆巻頭言◆
「謎としての誠実さをめぐって」田中純
◆特集◆「配信の政治――ライヴとライフのメディア」
「緒言」木下千花
「座談会:オンライン演劇は可能か――実践と理論から考えてみる」岩城京子+須藤崇規+長島確+横山義志[兼・司会]
「テレビという事実」スタンリー・カヴェル(堀潤之訳)
「ウイルスに学ぶ――自宅という柔らかい監獄からの脱出」ポール・B・プレシアド(岸茉利訳)
◆論文◆
「現在性ははたして恩寵なのか――マイケル・フリード「芸術と客体性」のエピグラフをめぐる考察」入江哲朗
「宇宙開発時代のメディアアート――ソヴィエト連邦のキネチズム」河村彩
「ランシエールの政治的テクスト読解の諸相――フロベール論に基づいて」鈴木亘
「ラインハルト・コゼレックの政治的イコノロジー ――記念碑・イメージ・歴史」二宮望
「風景から光景へ――『君の名は。』における仮想のレンズと半透明性」渡部宏樹
◆書評◆
「バタイユの芸術論を新たなパースペクティブで考察する──井岡詩子『ジョルジュ・バタイユにおける芸術と「幼年期」』書評」酒井健
「ドレスを脱ぐこと/純粋さへの還元──横田祐美子『脱ぎ去りの思考』書評」郷原佳以
「「はじめに音楽、次に言葉」? ――岡本佳子『神秘劇をオペラ座へ』書評」白井史人
「描く手/描かれる手を読む思考――宮本裕子『フライシャー兄弟の映像的志向』書評」細馬宏通
「超越の不在と弁証法――松田智裕『弁証法、戦争、解読』書評」長坂真澄
「小津映画の美学的な起源をハリウッド映画に探る――滝浪佑紀『小津安二郎』書評」長谷正人
「古き良きボストンに乾杯!――入江哲朗『火星の旅人』書評」巽孝之
「色盲者の幽霊船を漕ぎ出す――馬場靖人『〈色盲〉と近代』書評」石谷治寛
表象文化論学会(The Association for Studies of Culture and Representation)
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