「無能でガラクタな言葉」たち!
4冊の小説集と1冊の翻訳書をのこして逝った作家の批評的エッセイを集成した遺稿集。虫・音楽・競馬・F1・バロウズ――読み解くこと/わかることの回路を侵犯するノイズ!ノイズ!ノイズ!
附:椹木野衣との音楽をめぐる徹底対談、村崎百郎、木村重樹とのバロウズ追悼の鼎談。
昆虫の記憶による網膜貯蔵シェルター、及びアンテナ
清水アリカ
¥1,800 (税別)
4冊の小説集と1冊の翻訳書をのこして逝った作家の批評的エッセイを集成
- 刊行年月: 2012.4
- 46判(タテ190mm×ヨコ128mm)並製240頁
- 本体価格1,800円
- ISBN978-4-901477-93-2
目次
I
昆虫の記憶による網膜貯蔵シェルター、及びアンテナ
II
ゴースト/キツネザル
バッドトリップ、ディスコミュニケーション、カットアップ
いまや本を開くのは「読む」ためではなく、必要な断片をサンプリングするためだけだ
キャサリン、サリー、あるいは名のない女の⋯⋯。
ブコウスキー 臆病者の実験小説
歌舞伎町B級SMショー
奥泉光『その言葉を』
中原昌也『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』
「絶対的窮乏化」時代の散文
犬譚、夢譚、鴉譚
Ⅲ
突然変異の音、累積する音 椹木野衣との対談
バロウズ爺さんの尻の穴を拡げるとインターゾーンの風景が現れる 村崎百郎・木村重樹との鼎談
IV
「未来の記憶」を反芻するセックス
頼むからコカコーラの秘密を漏らさないでくれ
上海に星は見えない
悪趣味の彼岸
「サブカルチャー的悪夢」と革命的想像力
廃墟から廃墟へ
かわいいニッポンのグロテスクなわたし
あなたがクスリで目指す「日常」とは、なんですか?
V
快楽としての香港競馬
競馬のリアルを求めて
偶然について
チトセオーが教えてくれたこと 第一一二回天皇賞・秋 回顧
因果は巡る 第五七回優駿牝馬(オークス) 回顧
ピンクの弾丸 第五七回桜花賞 回顧
馬の速さと、人の遅さ 第一一八回天皇賞・秋 回顧
「ライバル」と呼ばれえぬ二頭の戦い 第四〇回宝塚記念 回顧
美しく、雄大な尾に力は宿る 第一二二回天皇賞・秋 回顧
F1=空飛ぶファシズム
〔よんどころない事情があって〕
紹介記事
- ナガタ氏書評(「本が好き!BOOKニュース」2012年6月6日付「音楽と美術と文学の交差点にある、ゴミ、ノイズ、ガラクタ」)
- 佐々木敦氏書評(「週刊金曜日」2012年5月11日号「きんようぶんか」欄「サブカルチャー的豊饒さそして革命的想像力」)
- 陣野俊史氏書評(「日本経済新聞」2012年4月25日付夕刊「エンジョイ読書」欄「斜めからの視点を粋な言葉で」)
清水アリカ(しみず・ありか)
1963年2月神戸生まれ。2010年9月、転移性肺がんのため死去。1990年、『革命のためのサウンドトラック』で「すばる文学賞」受賞。小説に『革命のためのサウンドトラック』(集英社、1991年)、『天国』(大栄出版、1993年)、『デッドシティ・レイディオ』(集英社、1993年)、『チャーリーと水中眼鏡』(河出書房新社、1999年)がある。翻訳にウィリアム・S・バロウズ『トルネイド・アレイ』(思潮社、1992年)がある。全小説と創作ノートなどは、『清水アリカ全集』(河出書房新社、2011年)にまとめられている。