なぜ私たちは権力への服従を欲望してしまうのか――私たちの主体形成の過程において、社会的統制の暴力は外側から一方的に行使されるのではなく、自分自身に「振り向くこと」、良心、自己叱責といった心的なものを通じて機能する。権力による「主体化=服従化」の過程を、フーコー、アルチュセール(権力理論)や、ヘーゲル、ニーチェ、フロイト(心的なものの理論)から徹底的に考察し、抵抗の契機を模索する。【重要な訳語を再検討し訳文を見直した決定版】
改訳決定版 権力の心的な生――主体化=服従化に関する諸理論
ジュディス・バトラー
¥3,200 (税別)
佐藤嘉幸・清水知子[訳]
2024年9月2日取次搬入予定
- 刊行年月:2024年9月
- 46判並製304頁
- 縦188mm×横130mm×束幅20mm
- 重量330g
- 本体価格3,200円
- ISBN:978-4-86503-192-8 C0010
目次
謝辞
序論
情熱的な愛着
両義性
主体化=服従化/従属化
心的なものの統制
第一章 頑固な愛着、身体の服従化――不幸な意識をめぐるヘーゲルを再読する
ヘーゲルと自己隷属化の生産
ポスト・ヘーゲル的主体化=服従化
第二章 疚しい良心の回路――ニーチェとフロイト
ニーチェによる疚しい良心の説明
フロイト、ナルシシズム、統制
第三章 服従化、抵抗、再意味化――フロイトとフーコーの間で
第四章 「良心は私たち皆を主体にする」――アルチュセールによる主体化=服従化
第五章 メランコリー的ジェンダー/拒否される同一化
生動させ続けること――ジュディス・バトラーへのコメント(アダム・フィリップス)
アダム・フィリップスによる「メランコリー的ジェンダー/拒否される同一化」へのコメントに対する応答
第六章 精神の始原――メランコリー、両価性、怒り
訳者解説「主体化=服従化の装置としての禁止の法――バトラー『権力の心的な生』とアルチュセール、フーコー」佐藤嘉幸 265
訳者あとがき
新版への訳者あとがき
改訳決定版への訳者あとがき
ジュディス・バトラー(Judith Butler, 1956-)
カリフォルニア大学バークレー校大学院特別教授。訳書に 『ジェンダー・トラブル』(青土社、1999年/新装版2018年)、『アンティゴネーの主張』(青土社、2002年)、『触発する言葉』(岩波書店、2004年/再刊2015年)、『生のあやうさ』(以文社、2007年)、『自分自身を説明すること』(月曜社、2008年/新版2024年)、『権力の心的な生』(月曜社、2012年/新版2019年/改訳決定版2024年:本書)、『戦争の枠組』(筑摩書房、2012年)、『アセンブリ』(青土社、2018年)、『欲望の主体』(堀之内出版、2019年)、『分かれ道』(青土社、2019年)、『問題=物質(マター)となる身体』(以文社、2021年)、『非暴力の力』(青土社、2022年)、『この世界はどんな世界か?』(青土社、2023年)などがある。
訳者:佐藤嘉幸(さとう・よしゆき, 1971-)
筑波大学人文社会系准教授。著書に『権力と抵抗』(人文書院、2008年)、『新自由主義と権力』(人文書院、2009年)、『脱原発の哲学』(田口卓臣との共著、人文書院、2016年)、『三つの革命』(廣瀬純との共著、講談社選書メチエ、2017年)など。
訳者:清水知子(しみず・ともこ, 1970-)
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授。著書に『文化と暴力』(月曜社、2013年)、『ディズニーと動物』(筑摩選書、2021年)など。