結婚――四篇のエセー
アルベール・カミュ

¥2,000 (税別)

2024年02月08日取次搬入開始予定

柏倉康夫[訳]

  • 刊行年月:2024年2月
  • 46判並製98頁
  • 縦188㎜×横110㎜×束6.5㎜
  • 100g
  • 本体2,000円
  • ISBN:978-4-86503-182-9

20世紀フランスを代表する作家、アルベール・カミュの初期随筆集『Noces』(1939年)の新訳。「ティパサでの結婚」「ジェミラの風」「アルジェの夏」「砂漠」の4篇を収録。地中海地方の白い砂浜、輝く太陽、青い空、吹き渡る風、芳香を放つ色とりどりの花々……世界の美しさを肌で感じつつ、今このときを生きることへの讃歌が綴られる。生きること、それは自然との結合であり、世界との結婚だった。
叢書・エクリチュールの冒険、第24回配本。

「昼少し前、わたしたちは廃墟を通って、港の端の小さなカフェに戻った。太陽と色彩のシンバルが鳴り響く頭にとっては、影にみちた部屋や、緑色の冷えたペパーミントが入った大きなグラスほど、爽やかな歓待はない! 外は、海と埃っぽい焼けついた道路。テーブルの前に座って、しばたく睫毛のあいだに、白熱の空の多彩な眩惑を捉えようとする。顔は汗でぬれているが、軽いシャツを着た身体はすがすがしく、わたしたちはみな、世界と結婚した幸福な一日の疲労をさらけ出す」(「ティパサでの結婚」より)。

アルベール・カミュ(Albert Camus, 1913–1960)
フランスの作家。日本語訳に『カミュ全集』(新潮社、1972~1973年)ほか多数。近年の訳書に、『ペスト』(三野博司訳、岩波文庫、2021年4月;中条省平訳、光文社古典新訳文庫、2021年9月)、『戒厳令』(中村まり子訳、藤原書店、2023年)、『正義の人びと』(中村まり子訳、藤原書店、2023年)がある。

柏倉康夫(かしわくら・やすお, 1939–)
放送大学名誉教授。京都大学博士(文学)。フランス国家功労勲章叙勲。近年の著書に、『今宵はなんという夢みる夜――金子光晴と森美千代』(左右社、2018年)。月曜社より刊行した訳書に、マラルメ『詩集』(2018年)、マラルメ『賽の一振り』(2022年)、マラルメ『散文詩篇』(2023年)がある。

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