人類史の哲学
近藤和敬

¥3,800 (税別)

  • 刊行年月:2024年1月
  • 46判上製560頁
  • 縦188mm×横130mm 束幅40mm
  • 640g
  • 本体3,800円
  • ISBN:978-4-86503-180-5 C0010
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人類史を哲学から問い直す。哲学を人類史から問い直す――。近年の人類学的転回は哲学に根底からの転換を迫っている。数理哲学やドゥルーズを論じてきた旗手が、自然、人間、そして社会の形成の基礎を問い、近代の自律/他律を超える〈異律〉という原理から人類史を再構成し、学問=知そのものを問い直す、壮大にして記念碑的な力作、主著の誕生。

目次

序論
第一節 哲学、社会、価値
第二節 学問と価値
第三節 現代の価値の布置
第一章 社会性の自然化
第一節 自然と価値――〈自然②〉のほうへ
第二節 〈自然②〉の観点から人類史を問う
第二章 異律
第一節 自律/他律、自立/依存と異律
第二節 異律的なものとホモ・サピエンス
第三節 意味の異律的組織化と相互行為というゲーム
第三章 人間社会の異律的組織化の微分要素
第一節 単位集団、存続という問いと同等性への傾向
第二節 勝敗と対称性――「負い目」との関係
第三節 集合的規範、生きられた存在論、構造
第四章 人間社会の歴史――人間の相互行為のパターンの組織化と学問の起源
第一節 共通の枠組みの抽出と各論の批判
第二節 類型の歴史的実現
第三節 学問と人間の歴史
第四節 学問と条件的なものの把握
第五章 現在とは何か――近代制の構造分析、資本主義、法、自然法則
第一節 いくつかの近代論について
第二節 近代の二項対立のイデオロギーの起源について
第三節 近代社会の複層的二項対立構造と無限直線の時間
第四節 近代社会を裏返すための二つの導きの糸:学問制度と貨幣制度
終章 内在の形而上学
1.強度の絶対零度
2.セリー化:必然性(実体様態の分離:持続の発生)
3.セリーと反復:特異なもの:強度的差異:存続
4.差異のフラクタル・スケールとしての共通のもの:種と個体、部分と全体、多と一、大と小
5.認識の基礎:共通のものと感受性、条件的なものの把握
6.強度的な場と構造の接続:構造の発生といわれたもの=構造変換=異なる特異性の反復
7.条件的なものの認識とかつての自然科学:必然性の認識のモードとしての部分的真理:行為のリハーサルとしての認識のモード
8.智慧としての条件的なものと特異的なものの結合体から生じる認識のモード:治療的理解
9.構造変換と条件的なもの
10.構造のカタストロフか多構造を培養するインフラ構造か:後のディ・レンマ
補論
第一部 異律的なもの、未規定性、構造、共通する善、生きられた存在論について
補論1 二つの自然、能産的自然と所産的自然、運命と歴史――ストア派の自然とエピクロス派の自然
補遺2 「異律的な主体」とケアの「未規定性」
補論3 構造主義と構造の発生:構造発生の四原因と構造の特異性
補論4 スピノザの「残りの者」と「未規定性」
補論5 「ケア」と「共通する善」
補論6 「自覚された存在論」の歴史としての哲学史と社会構造の歴史
第二部 『差異と反復』の再読
補論7 襞を編む――加藤安佐子のタブローについて
補論8 一九~二〇世紀のフランス哲学における思想系譜から導かれるジル・ドゥルーズの『差異と反復』を読むためのある新しい試みについて――「集合表象」と「強度的な集合」
補論9:カヴァイエスの数学の哲学と史的唯物論
参照文献一覧

後記

紹介記事

近藤和敬(こんどう・かずのり)
1979年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科准教授。主な著書に『カヴァイエス研究』(月曜社、2011年)、『数学的経験の哲学』(青土社、2013年)、『〈内在の哲学〉へ』(青土社、2019年)、『ドゥルーズ=ガタリの『哲学とは何か』を精読する』(講談社選書メチエ、2020年)。訳書にJ・カヴァイエス『論理学と学知の理論について』(月曜社、2013年)、A・バディウ『アラン・バディウ、自らの哲学を語る』(水声社、2023年)など。

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