退路を断ちながら生きてきた人の「ぜいたく貧乏」な24編。代表作『階級を選びなおす』をはじめ、『アイヌの世界に生きる』の初出誌連載版「土と雪のあいだ――あるアイヌ農婦の七十年」など、稀有な生き方を選んだ女性の軌跡を集成!
解説:黒川創・瀧口夕美。
¥4,800 (税別)
退路を断ちながら生きてきた人の「ぜいたく貧乏」な24編。代表作『階級を選びなおす』をはじめ、『アイヌの世界に生きる』の初出誌連載版「土と雪のあいだ――あるアイヌ農婦の七十年」など、稀有な生き方を選んだ女性の軌跡を集成!
解説:黒川創・瀧口夕美。
I 階級を選びなおす
第一章 水産加工場
第二章 農業労務者
第三章 観光地
短章
あとがき
II 土と雪のあいだ
自分の占める地点に立って
砂の重さ――北海道の女子出稼労働者の十年間
ある差別――虚構のコタンから
壁のなか――アイヌ・父と娘
土と雪のあいだ――あるアイヌ農婦の七十年
文様と刺繡と女たち
III 個と女
なぜひとりでいるのか――抽象的人間関係について
基になるもの――働く女たちの中で
「天皇」に対置し得るもの
IV 回想――京都
最初の訛り
太田典礼とふるさと
最初の本が出るまで
60年代後半からの年月
海辺の村――ぜいたく貧乏の家
京都・上賀茂・芸術の父――井上美奈子さんの10才
上賀茂のころ
V 北海道から――拾遺
ゆうびんばこ
同時代観
現場の目
由美さんのこと
智子さんのこと
北海道の生活から――釧路の街
北海道その後
解説
彼女が「茅辺かのう」になったとき(黒川創)
「素姓の知れないひとりの中年女」として生きた経験(瀧口夕美)
年譜
茅辺かのう(かやべ・かのう)
本名、井上美奈子。1924年、京都府の丹後・宮津に、日本画家・井上永悠の長女として生まれる。1948年、京都大学を中退。その後、東京で編集者として働く。1961年、東京を離れ、政治運動をともにした男との生活も引き払い、季節労働者として北海道を10年以上転々とする。1973年、京都の実家に引き返し両親の最期をみとる。2007年没。
【著書】『階級を選びなおす』(文藝春秋、1970年)、『アイヌの世界に生きる』(筑摩書房、1984年/ちくま文庫、2021年)。