現代文学論を牽引してきた批評家が放つ新たなる批評への宣言。志賀直哉論など文学史を反転させる書き下ろし批評、フローベール書簡に寄せた断章群、そして最も畏敬する三人の文学者にささげた論考三篇の三部構成によって、一貫して正岡子規的な「フォルマリズム」を基底にした冷徹なる「物」からの眼差しを批評として実践してきた著者の核心と未来を凝縮した類稀なる書!★蓮實重彦・柄谷行人推薦★
「文学批評の可能性について、渡部直己ほど真剣に考え続けた者がいるだろうか。その業績は批評の歴史における貴重な指標となるだろう」(柄谷行人)。
「明治維新を文章体験として相対化すること。『日本小説批評の起源』(河出書房新社、2020年)以降の渡部直己の仕事は、その政治的な一点において他を圧倒している。その視点をさらに深く推し進めているこの最新作は、批評的な実践がかつてなく弱まっている二十一世紀の日本にとっては過ぎた収穫にほかならぬ」(蓮實重彥)。