ベンヤミンの革命と救済の歴史哲学を読み解き、その問いを歴史の危機のさなかに受け継ごうとする哲学の試み。命あるものを犠牲にしながら続く歴史を逆なでし、死者とともに生きる道筋を、進歩の残骸を縫って切り開く非連続的な歴史へ。
「歴史の概念について」ハンナ・アーレント手稿の翻訳と解題を収録。
断絶からの歴史 ベンヤミンの歴史哲学
柿木伸之
¥3,600 (税別)
革命と救済の歴史哲学
- 刊行年月:2021年4月
- 46判並製392頁
- 本体価格3,600円
- ISBN:978-4-86503-112-6
目次
序章 ベンヤミンの歴史への問いを受け継ぐために
I 想起と救済
第一章 想起からの歴史―ベンヤミンの歴史哲学
第二章 メシアニズムなきメシア的なものの系譜──ベンヤミンとデリダの「メシア的なもの」をめぐる思考
II ベンヤミンとハイデガー
第三章 反転する時間、革命としての歴史──ベンヤミン、ブロッホ、ローゼンツヴァイクと初期ハイデガー
第四章 救済と命運──歴史をめぐるベンヤミンとハイデガーの対決
III 歴史の媒体
第五章 切断からの像──ベンヤミンとクレーにおける破壊と構成
第六章 像における歴史──ベンヤミンの歴史哲学における構成の理論
IV 名もなき者たちの歴史へ
第七章 「歴史の概念について」ハンナ・アーレント手稿──解題と翻訳
第八章 抑圧された者たちの伝統とは何か──ベンヤミンの歴史哲学における歴史の構成と伝統
終章 残余からの歴史のために
あとがき
紹介記事
- 高橋順一氏書評「歴史の闇のなかにまどろむ死者たちを目覚めさせよ――ベンヤミンの歴史哲学の根源」(「図書新聞」2021年7月31日付)
柿木伸之(かきぎ・のぶゆき)
1970年鹿児島生まれ。専門は、20世紀ドイツ語圏の哲学と美学。 西南学院大学国際文化学部国際文化学科教授。主な著書:『ヴァルター・ベンヤミン──闇を歩く批評』(岩波新書、2019年)/『パット剝ギトッテシマッタ後の世界ヘ──ヒロシマを想起する思考』(インパクト出版会 、2015年)/『ベンヤミンの言語哲学──翻訳としての言語、想起からの歴史』(平凡社、2014年)