18世紀英国の神学者ウォーバートンによるヒエログリフ論の仏訳書に付された、デリダとトールによる70年代後半の各論考を初めて訳出。エクリチュールの複雑性のうちに、言語における起源の問題を《覆い》の発生として批判的に捉えるデリダ。権力の起源としての解釈学的営為に着目し、歴史と真理との関係にひそむ暴力を問うトール。グラマトロジーの鋭利な挑戦がここに継続される。【叢書エクリチュールの冒険、第17回配本】
「覆いの力のおかげで、代補が地位を奪取する。起源にまつわるあらゆる説明、エクリチュールや神々に関するあらゆる説明、あるいは系譜学的な説明のもつ権力についてのあらゆる説明は、代補による覆いと一般的なクリプトグラフィーのこうした法則に従う。神官がこれらの説明を占有できたのは、ただそれがひとつの神聖な起源からあるものとして受け入れるふりをすることによってのみなのである」(本文より)。
原著:Jacques Derrida, “SCRIBBLE” & Patrick TORT, “TRANSFIGURATIONS” in “Essai sur les hiéroglyphes des Égyptiens” de William Warburton, Aubier Flammarion, Paris, 1977.