黄色、それから黄色っぽい色、そしてまた黄色……アルジェリアを舞台に過去と現在、歴史と虚構が交錯し、再説されるたびに差異を孕み、ズレが生じていく。真偽をめぐる境界の曖昧さのアレゴリーと、フィクションによる史実の征服。精密かつ流麗な仕掛けが動き出す。小説とはつまり挑発であり挑戦なのだ。冒険は読者とともに始まるだろう。複数の言語が入り乱れるマグレブ文学の快作。【叢書・エクリチュールの冒険、第14回配本】
冒頭部分より: 黄色、それから黄色っぽい色、そしてまた黄色。クレーン、というよりむしろもっと具体的には、まるで空と―― 一般に――呼ばれているものからおおよそなりたっている青い物質の中を突進する矢のように往来をやめない、等距離間を駆けめぐるのをやめないアームが空中に飛び出す。空をかき回し、掃き出し、まるで――クレーンのアームは――押しのけられた翼のように――いずれにせよ――台座の先で動き回っているのだが、その台座をなしているもう一方の翼からは、完全に独立して勝手に動いている。台座は地面に固定されているというか、それよりも――むしろ――つながれているかのようだ。そのせいでクレーンの腕は、もつれた紺碧の一種の天の布地の中にもろに浸っているかのように見える。そして、いわば正方形、長方形、菱形、円形等々にこの布地を分断し、ゆったりと、機械的で、反復的で、同一の大きな動きを見せている。そして何といっても黄色。それから黄色っぽい色。そしてまた黄色! 太陽の前を通るたびに、影の中を通るたびに。絶え間なく繰り返される往来は、金槌の一撃でへこまされたかのように、多少いびつだったり多少平板だったりする楕円形をした一種の円形に沿っている。この楕円は変形し、平らにされ、幾分押しつぶされたように、少々膨張している。その一方で、クレーンの固定された部分は足かせをはめられたかのように、永久に不動でいることを強制されているかのように、縛りつけられ、ロープでくくりつけられ、紐で結わえつけられ、ケーブル、平衡錘、留め具によって重くなり、地面に奥深く埋め込まれた根のように見える。・・・
原著:La prise de Gibraltar, Denoël, 1987 (MAARAKAT AZZOUKAK, ENAL, 1986)