科学やテクノロジーの考察から出発し、文化人類学、哲学、社会学、地理学、現代アート等に広範な影響を与えてきたフランスの哲学者ブルーノ・ラトゥール。近代的諸前提を絶えず相対化するがゆえに捉えがたいラトゥールの議論を、非還元主義からアクターネットワーク論、存在様態論へと至る一貫した知的探求として捉え直し、「テクノロジーとは何か」、「科学とは何か」、「社会とは何か」、「近代とは何か」、「私たちとは何か」という五つの問いを通じて、モダニズムとポストモダニズムの限界を乗り越えるノンモダニズムの思考を提示する。【シリーズ〈哲学への扉〉、第3回配本】
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目次
序論
対応説を超えて
真面目すぎてはいけない
取り扱い上の注意
第一章 テクノロジーとは何か
社会の外側
科学知識の社会学
解釈の柔軟性
アクターネットワーク
非還元の原理
仲介と媒介
テクノロジーへの生成
還元の倫理
第二章 科学とは何か
同時否定
事実らしさ
ネットワークの長短
インターナルとエクスターナル
循環する指示
制作される実在
対応説の棄却
第三章 社会とは何か
領域と関係
二つの社会学
構築とは何か
意味作用
非人間と権力
アクターから学ぶ
社会を変える
第四章 近代とは何か
翻訳と純化
実験共同体
知識の政体
二種の代理
ノンモダニズム
存在の諸様態
第五章 私たちとは何か
三つの発想
非還元主義的デトックス
噛み合わないまま話し続ける
汎構築主義の受動性
あとがき