シリーズ・古典転生

エリアス・カネッティ 生涯と著作
須藤温子

¥3,500 (税別)

亡命ユダヤ人でノーベル賞作家の実像に迫る

  • 刊行年月: 2019.02
  • A5判上製376頁
  • 本体価格3,500円
  • 21.6 x 15.1 x 2.8 cm
  • ISBN978-4-86503-070-9

セファルディ系ユダヤ人であり、20世紀のドイツ語圏作家。ノーベル文学賞受賞者にして、数知れない故郷をもつ亡命者。そして、死の敵対者でありつづけた男。4つの言語を操りながらもドイツ語で書き続けたエリアス・カネッティの文学作品と思考の変遷をたどる力作。妻であり作家であったヴェーザの魅力にも触れる。【シリーズ・古典転生:第18回配本、本巻17】

 

目次

ウィーン・女性・ユダヤ人
第一章 逃げゆく男――オットー・ヴァイニンガーの『性と性格』とエリアス・カネッティの『眩暈』
第二章 「せむし」の小人たち――エリアス・カネッティの『眩暈』とヴェーザ・カネッティの『黄色い街』におけるユダヤ人の身体
群衆と権力
第三章 群衆―他者と偶有性への活路
生・死・生き残ること
第四章 「わたしはいかなる死も認めない」――エリアス・カネッティの死生学
コラム1 フロイトの母乳――エリアス・カネッティと精神分析
第五章 「現実への道のひとつは絵画を経由している」――エリアス・カネッティと五枚の絵画
亡命―ウィーンを追われて
第六章 楽園からの追放――ヴェーザ・カネッティの小説『亀たち』とオーストリア併合
第七章 戦後オーストリアと亡命作家――ローベルト・ノイマン、ヴェーザ・カネッティ、エリアス・カネッティ
第八章 エリアス・カネッティの『耳証人』と性格の系譜学
言語と故郷――ユダヤ人であること
第九章 エリアス・カネッティは何語で泣いたか――母語にして迫害の言語とユダヤ性
コラム2 カネッティの贈り物
あとがき
参考文献一覧
エリアス・カネッティ略年譜
人名索引
事項索引

紹介記事

  • 古矢晋一氏書評(「図書新聞」2019年6月22日号「死者たちの群衆の後に唯一者として「生き残る」」)

須藤温子(すとう・はるこ)
1972年生まれ。日本大学芸術学部教授。専門はドイツ語圏文学、表象文化論、エリアス・カネッティ、ヴェーザ・カネッティ研究。著書に『狂気のディスクルス』(共著、夏目書房、2006年)、論文に第4回日本オーストリア文学会賞受賞論文「エリアス・カネッティの群衆――他者と偶有性への活路」(『ドイツ文学』第130号、2006年)、翻訳に『エリアス・カネッティ伝記』(上下巻、共訳、SUP 上智大学出版、2013年)などがある。

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