ユニオンジャックに黒はない 人種と国民をめぐる文化政治
ポール・ギルロイ

¥3,800 (税別)

田中東子+山本敦久+井上弘貴[訳]

文化研究の古典

  • 刊行年月: 2017.08
  • 四六判上製576頁
  • 本体価格3,800円
  • 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
  • ISBN978-4-86503-049-5

警察による過剰な取り締まりと暴動、レゲエやパンクなどの抵抗的音楽をつうじて戦後英国における人種差別の系譜を批判的に辿りながら、法と秩序、そして愛国心のもとで神話化された国民というヴェールを引き剝がす。

原書: There Ain’t No Black in the Union Jack: The Cultural Politics of Race and Nation, Hutchinson, 1987 / Routledge, 2002.

目次

日本語版への序文
謝辞
序章 人種は月並みなものである
第1章 「人種」、階級、行為体
対自的な人種と即自的な階級/階級の編制/人種の編制
第2章 「囁きが起き、戦慄が走る」――「人種」、国民、エスニック絶対主義
「人種」、国民、秩序のレトリック/平時と戦時における国民共同体/国家と家族のなかの文化とアイデンティティ/結論
第3章 無法な異邦人たち
第二次世界大戦後の英国における黒人と犯罪/量から質へ――パウエリズム、黒人の子どもたち、病理学/1981年から1985年にかけての路上犯罪と象徴的な場所/結論
第4章 反人種差別のふたつの側面
1970年代の反人種差別/反ナチズム、あるいは反人種差別?/地方自治体の反人種差別/新しい反人種差別に向けて
第5章 ディアスポラ、ユートピア、資本主義批判
ダンスフロアの黒と白/「立ちあがり、闘い、そしてかかわりあえ」―─ソウル、公民権、ブラック・パワー/足止めされたラスタファーライの前進/ファンクの裏切り者とコックニー解釈/ドレッド文化、ワイルド・スタイル、資本主義批判/言語の限界/「人種」、エスニシティ、習合主義、近代性
第6章 結論――都市の社会運動、「人種」、コミュニティ
破壊的な抵抗とコミュニティの象徴化/終わりに
第6章への補遺
1、報道発表/2、コミュニティの声明

訳者あとがき
参考文献
索引

紹介記事

  • 酒井隆史氏書評(「図書新聞」2017年11月4日号「不変と変化、この30年 レイシズムとナショナリズムの不可分な力関係」)
  • 石田昌隆氏書評(「ミュージックマガジン」2017年11月号「RANDOM ACCESS BOOK」欄)
  • 野田努氏書評(「ele-king」WEB版2017年10月4日付「Book Reviews」欄)
  • 無記名氏書評(「河北新報」2017年10月1日付「読書」欄など[共同通信配信記事])

ポール・ギルロイ(Paul Gilroy)
1956年生まれ、ロンドン大学キングス・カレッジ教授。英米文学、文化研究。主な著書にThere Ain't No Black in the Union Jack: The Cultural Politics of Race and Nation (1987/ 2002[本書]), Small Acts: Thoughts on the Politics of Black Cultures (1993), The Black Atlantic: Modernity and Double Consciousness (1993[邦訳月曜社]), Between Camps: Nations, Cultures and the Allure of Race (2000), After Empire: Melancholia or Convivial Culture? (2004), Black Britain: A Photographic History (2007), Darker Than Blue: On the Moral Economies of Black Atlantic Culture (2010)など。主な邦訳書に『ブラック・アトランティック――近代性と二重意識』(上野俊哉・毛利嘉孝・鈴木慎一郎訳、月曜社、2006年/新版近刊予定)、『黒い大西洋と知識人の現在』(共著、小笠原博毅編、松籟社、2009年)、『ディアスポラの力を結集する――ギルロイ・ボヤーリン兄弟・スピヴァク』(共著、赤尾光春・早尾貴紀編、松籟社、2012年)など。

訳者:
田中東子(たなか・とうこ)
1972年生まれ、大妻女子大学准教授。メディア文化論、ジェンダー・スタディーズ、文化研究。主な著訳書に『メディア文化とジェンダーの政治学――第三波フェミニズムの視点から』(世界思想社、2012年)、イアン・コンドリー『日本のヒップホップ――文化グローバリゼーションの〈現場〉』(山本敦久との共訳、上野俊哉監訳、NTT出版、2009年)など。
山本敦久(やまもと・あつひさ)
1973年生まれ、成城大学准教授。スポーツ社会学、文化研究。主な編著書に『反東京オリンピック宣言』(小笠原博毅との共編、航思社、2016年)、『身体と教養――身体と向き合うアクティブ・ラーニングの探求』(ナカニシヤ出版、2016年)。
井上弘貴(いのうえ・ひろたか
1973年生まれ、神戸大学准教授。政治理論、公共政策論、アメリカ政治思想史。主な著訳書に『ジョン・デューイとアメリカの責任』(木鐸社、2008年)、ジョン・ギャスティル+ピーター・レヴィーン編『熟議民主主義ハンドブック』(津富宏・木村正人との共監訳、現代人文社、2013年)など。

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