伝統から解放された近代絵画の誕生――「マネの名は、絵画史において特別な意味を帯びている。マネは、非常に偉大な画家であるばかりではない。つまり彼は、先人たちと断絶したのである。彼は、われわれが生きている時代を切り開き、現在のわれわれの世界とは調和している。だが、彼が暮らしてスキャンダルを引き起こした世界では、不協和を引き起こすのだ。マネの絵画がもたらしたのは突然の変化、刺激的な転覆であり、もし曖昧さが生じなければ革命の名がそれにふさわしいであろう」。バタイユの高名な絵画論(1955年)、待望の新訳。【芸術論叢書・第四回配本】
芸術論叢書
マネ
ジョルジュ・バタイユ
¥3,600 (税別)
江澤健一郎[訳]
晩年の高名な画家論、44年ぶりの新訳
- 刊行年月: 2016.07
- A5変型判並製232頁
- 本体価格3,600円
- 17.6 x 14.8 x 1.6 cm
- ISBN978-4-86503-033-4
目次
マネ
マネの優雅さ
非人称的な転覆
主題の破壊
《オランピア》のスキャンダル
秘密
疑念から至上の価値へ
年譜
簡略書誌
カラー図版(マネ作品50点)
訳者解説:もうひとつの近代絵画論『マネ』――表面の深奥でわれわれを見つめる不在
一、『マネ』成立の背景
二、聖なるものの行方
三、『至高性』の問題圏
四、芸術と至高な「主体(主題)」の関係
五、近代絵画論『マネ』の特異性
六、バタイユとマルロー
七、供犠的操作
八、詩的操作と横滑り
訳者あとがき
紹介記事
- 中島水緒氏書評(「美術手帖」2016年11月号「BOOK」欄「マネ作品の可能性を汲み尽した比類なき芸術論」)
- 濱野耕一郎氏書評(「週刊読書人」2016年9月9日号「期待を裏切る至高のタブロー――バタイユによるマネ論」)
ジョルジュ・バタイユ(Georges Bataille)
1897–1962。フランスの思想家、小説家。主著に「無神学大全」三部作となる『内的体験』(一九四三年)、『有罪者』(1944年)、『ニーチェについて』(1945年)や、『呪われた部分』(1945年)、『エロティシズム』(1957年)があるほか、小説では『眼球譚』(1928年)、『マダム・エドワルダ』(1941年)など、文学論では『文学と悪』(1957年)などがある。晩年には、『マネ』や『ラスコーあるいは芸術の誕生』(1955年)を上梓し、芸術論の分野でも重要な思想家として知られる。
訳者:
江澤健一郎(えざわ・けんいちろう)
1967年生。仏文学者。立教大学ほか兼任講師。著書に『バタイユ――呪われた思想家』(河出書房新社、2013年)、『ジョルジュ・バタイユの《不定形》の美学』(水声社、2005年)があるほか、訳書にジョルジュ・バタイユ『ドキュマン』(河出文庫、2014年)、ジョルジュ・ディディ゠ユベルマン『イメージの前で――美術史の目的への問い』(法政大学出版局、2012年)がある。