彼方への意志と覚醒をめぐって
即興をめぐる新しい価値観を開示し、演奏の本質を追求したジャズ論集。
デレク・ベイリー、スティーヴ・レイシー、ミルフォード・グレイヴスらとの対話、ドルフィ、コルトレーン、セシル・テイラー、オーネット・コールマン論、そして単行本未収録原稿を多数収録。
〈なしくずしの死〉への覚書と断片 間章著作集 II
間章
¥5,600 (税別)
彼方への意志と覚醒をめぐって
即興をめぐる新しい価値観を開示し、演奏の本質を追求したジャズ論集。
- 刊行年月: 2013.11
- 四六判(タテ190mm×ヨコ133mm)上製572頁
- 本体価格5,600円
- ISBN978-4-86503-008-2
目次
I
エリック・ドルフィ試論 不可能性と破片
エリック・ドルフィと『カンヴァセイションズ』をめぐる十の断章
II
スティーヴ・レイシーとの対話 I 彼方への意志と覚醒をめぐって
スティーヴ・レイシーとの対話 II その六つの〈時〉と〈場所〉
『LAPIS(瑠璃)』についての断想と覚書 スティーヴ・レイシーの音楽とその空をめぐって
スティーヴ・レイシー 終りなき終りそして個 スティーヴ・レイシーの「ソロ・コンサート」をめぐって
スティーヴ・レイシーの〝ソロ〟についての覚書
ミルフォード・グレイヴス・コレクティヴ
鮮烈にして開かれたラディカルな音達 ミルフォード・グレイヴスへのオード
ミルフォード・グレイヴス・ウィズ・サニー・モーガン
未知のアナーキスト デレク・ベイリーの方位へ
デレク・ベイリーとの対話 即興演奏の新しい地平
デレク・ベイリーのまばゆさの中から
新たな即興演奏の地平とその展開
未在のアナルキィア デレク・ベイリー
集団即興演奏の修羅 「カンパニー」コンサート
即興音楽の組織化、デレク・ベイリーと“Company”をめぐって
III
『至上の愛』とコルトレーンの音楽の軌跡
『アセンション』の光と影または危機的な音楽と可能態の音楽への地平 六〇年代ジャズの〝午後〟試論
コルトレーン・後期の〈試行〉と〈軌跡〉そして『クル・セ・ママ』について
〝最後〟のコルトレーンと『惑星空間』
アルバート・アイラー論ノート I
アルバート・アイラー論ノート II ESPの五枚のレコードとアイラーの軌跡
音楽の現[うつし]における、セシル・テイラーの〈位置[エスパス]〉とその〈予感〉 音楽においての肉体の反乱とその組織化についての試論または〈オブセッション〉
「セシル・テイラー論」へのエスキス
現在進行と過去完了 『lnto The Hot』と六〇年代のセシル・テイラー
十月革命・論へのエスキス またはなしくずしと自死への戦線の所在
反ユートピアの原像 オリヴァー・レイクとロフト・ジャズ・ムーヴメントをめぐって
死の舞踏 夜と冬の通過客[パサジェルカ]からのレポート
「同時代」の逆説
ミンガスはいつだってミンガスだ チャールズ・ミンガスとのひとときの語らい
存在と円環
オーネット・コールマンとジャズの変革に関する諸章 O・C論へのエスキス
聖なる沈黙の中の無限なる音楽 ジョン・マクラフリンまたは宇宙と音の体現者
デイヴ・バレル=吉沢元治『ドリームス』
「光景」の為の三つの視線[まなざし]
Post Free Jazz MovementとSam Rivers and / or 遅れて来た新しきサックス奏者
バール・フィリップス『マウンテンスケイプス』のためのノート
闇のリリシズム、生理の歌 パティ・ウォーターズ小論
IIII
『オリジネイション』の為の覚書とその断片
吉沢元治の未明 または〈空と破片〉へのエスキス
〈Outfit〉破片の海から自己組織の海へ 吉沢元治の〝ソロ〟と演奏作業への覚書
『風の遺した物語』の音楽とレコーディング・セッションについて
EEUと開かれたフリーの地平をめぐる三章
『解体的交感』とニュー・ディレクション
〈なしくずしの死〉への覚書と断片 破壊者の自縛と無産者の栄光
〈なしくずしの死〉への後書 阿部薫の死に
編集ノート 須川善行
紹介記事
- Keisuke Kagiwada氏書評(「POPEYE」2016年9月号「JJとAAの勉強」)
- 椹木野衣氏書評(「ケトル」2014年12月号「REVIEW」欄)
- 山崎春美氏×渡邊未帆氏対談(「図書新聞」2014年12月6日号「再考一九七八——いま、間章を読むとはどういうことなのか」)
間章(あいだ・あきら)
一九四六年八月十八日、新潟県生まれ。音楽批評家。立教大学中退。在学中より批評・コンサート制作活動を開始。音楽雑誌、新聞、ライナーノートなどに、幅広い教養と独自のレトリックを駆使した文章を発表し、音楽批評にとどまらぬ多方面に大きな影響を与えた。七二年、新潟でフリー・ジャズ、フォーク、ロックから日本の伝統音楽までを網羅する現代音楽祭「自由空間」を開催。その後も、阿部薫、土取利行、近藤等則らとの共同作業や、スティーヴ・レイシー、ミルフォード・グレイヴス、デレク・ベイリーの招聘など、フリー・ジャズ・ミュージシャン、インプロヴァイザーとの実践的なかかわりを深めていった。一九七八年十二月十二日、脳出血により死去。享年三十二。没後に刊行された著書に、『時代の未明から来たるべきものへ』(イザラ書房版、一九八二年)、『非時と廃墟そして鏡』(深夜叢書社、一九八八年)、『この旅には終りはない』(柏書房、一九九二年)、『僕はランチに出かける』(同、一九九二年)。