演劇やダンスにおける近代性とは何か。
能、歌舞伎、シェイクスピアから、アルトー、ベケット、ピナ・バウシュまで、その現在的な可能性の中心を照射する。
これまで「反近代」「反モダニズム」的な表象として捉えられてきた「バロック」を、「失われた豊穣さ」としてではなく、「近代の諸問題が始まる発露の場」として把握し、その延長線上に20世紀芸術をあらためて置きなおす。そこから、歴史的・現代的諸問題の混迷を突き破る新たな舞台芸術の可能性を探る。
舞台芸術06
¥2,000 (税別)
責任編集=太田省吾・鴻英良
特集=バロック的
- 刊行年月:2004年7月7日発売
- A5判並製320頁カバー装
- 本体価格2,000円
- ISBN:4-901477-56-0
目次
オランダ絵画の語りかけ—-述語の力 太田省吾
バロックの夢 鴻英良
宮沢章夫インタヴュー(聞き手=森山直人・八角聡仁)「トーキョー」から見える同時代の地図
散-歩せよ! 丹生谷貴志
狂った時代とバロック的なもの—-アルトー再読の試み 塚原史
箔足のバロック 豊島重之
バロックと演劇の近代性—-編集部からの問題提起 鴻英良
W・ベンヤミン『ドイツ悲劇の根源』の基本的立場と、その近代芸術論への展開 浅井健二郎
共同討議 バロック的なるもの、その可能性の中心をめぐって
浅井健二郎/古井戸秀夫/浅田彰/八角聡仁/鴻英良
スペクタクル、バロック悲劇、決断のポリティクス—-ベンヤミンによるバロックとワイマールの重ね読み ルッツ・P・ケプニック 訳・解題=細見和之
『繻子の靴』あるいはグローバル演劇 渡邊守章
遮断と増殖—-土方巽のモダニティ 麿赤兒
スイジャクオペラ 高橋悠治
あるイニシエーション スガ秀実
消費社会のアレゴリー 海上宏美
フレーム内で変成する「かたち」—-マシュー・バーニー「クレマスター」をめぐって 天野一夫
モダン・ダンス出現の背景におけるバロック・ダンス 古後奈緒子
■時 評 ■
パレスチナから遠く離れて—-「開示すべき語り=物語(ナラティヴ)」はあるのか? 内野儀
「子供の国のダンス」便り—-「ギャル文字」的! 桜井圭介
仁左衛門の権太 小林昌廣
テクスト『ディクテ』の舞台化—-韓国の劇団ミュトスの公演とシンポジウムから 池内靖子
■連 載 ■
観世榮夫 わが演劇、わが闘争 5 インタヴュー 聞き手=茂山千之丞
やさしい現代演劇 6 川村毅
過渡期としての舞台空間—-小劇場演劇における「昭和三〇年代」 5 森山直人
北座はいま2—-上手・下手という概念の起源 木戸敏郎
いつシェイクスピアはシェイクスピアであることをやめるのか?—-アダプテーション理論とマクロテンポラリティ 大橋洋一
■上演台本■
マジック・アワー アルジュン・ライナ 訳=長島確 解説=鴻英良
舞台芸術研究センターとは
京都造形芸術大学(学校法人瓜生山学園)が2001年4月に開設した舞台芸術研究センターは、 舞台芸術の全創造過程を研究対象として、乖離しがちであった創造の現場と学術研究とのより有機的な結びつきを推進しています 。京都芸術劇場(「春秋座」「studio 21」)という学内劇場を活用することで、この関係が当センター独自のものとして確立され ることとなります。また、映像・舞台芸術学科を中心とした学内研究員による上演実験とその研究活動のみならず、学外の研究員や 国内外の研究機関との共同研究など、過去にない新たな舞台芸術研究のネットワークづくりを目指します。現在の日本の舞台芸術、 文化情況が狭窄的ではないかという共通理解のもと、それを解放するための多様な試みとしての『舞台芸術』を年3回刊行します。
http://www.k-pac.org 住所:〒606-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116
TEL:075-791-9437 (舞台芸術研究センター事務所)