未紹介の古典、未邦訳の名著を現代に蘇らせる新シリーズ「古典転生」第一弾!
ドゥルーズを触発した碩学ブレイエの高名な論考(1908年)の本邦初訳。
数理物理学の衝撃のもとにある近代以降の唯物論とはまったく異なるストア哲学の生物学的唯物論が提示する、存在と出来事を包括する自然哲学が〈非物体論〉として考察される。難解な論考の現代的意義を活きいきと開く訳者の長編解題を付す。マテリアリスムの新地平がここについに開示される。
「私がブレイエのこの初期ストア哲学に関する非物体論を知ったのは、ジル・ドゥルーズの『意味の論理学』(1969年)という書物によってである。最初はドゥルーズの論点を確認し補強する程度の気持ちで読んでいたが、しかし、次第にこのブレイエの非物体的なものについての研究書がきわめて重要な論点をいくつか含んでいることに気づき、またそのことを確信するに至った。それと同時に、私は、「クリュシッポスならこの問題をどう考えただろうか」、「クリュシッポスならこれについて何て言うだろうか」とつねに考えてしまうほど、クリュシッポスの魅力にとりつかれた。その理由は簡単である。初期ストア哲学は、自然における物体と非物体についてラディカルな思考を、つまり存在と出来事についての新たな思想を展開したからである。」—-「訳者あとがき」より。
◆「古典転生」は、未紹介の古典や未訳の名著を、詳細な解説と研究で現代に蘇らせる、月曜社の新シリーズです。文系理系を問わず、世界の名著や隠れた古典を新しい評価のもと続々と「転生」させて参ります。
続刊予定:平井浩編『ミクロコスモス:初期近代精神史研究(I)』、アグリッパ『隠秘哲学』、ボイル『懐疑的化学者』、コンディヤック『モナド』、ホッブズ『市民論』、カヴァイエス『論理学について』など。