孤高の批評家/思想家の40年にわたる営為からその精髄を集成。哲学・美術・文学・映画をつらぬいて思考の極限を歩みつづける批評家の全貌を3巻1800頁に凝縮して、その核心をあきらかにする。伝説的デビュー作『光の国』(抄録)から幻の連載「中世への途上」まで、「批評(家)」誕生と生成の軌跡を示す第Ⅰ巻、ドゥルーズ/フーコーとともに終わりなき思想の闘争を刻印する第Ⅱ巻を同時刊行。
★第Ⅰ巻巻末エッセイ:青山真治・小林康夫、解説:石川義正
★第Ⅱ巻巻末エッセイ:朝吹真理子・鈴木創士、解説:稲川方人
第Ⅲ巻(2026年1月発売予定)は直近20年の発表論考から単行本未収録を多数集成。巻末エッセイ:絓秀実、雑賀恵子。解説:東海晃久。
目次
第Ⅰ巻目次:
軽いまえがき
光の国――あるいはVoyage enVain(抄)
Ⅰ 神・神々・砂の書
Ⅱ「死」・木星の逃亡者・「光の国」
Ⅲ 沙漠・bêtise・「光の国」
舗石の下には砂浜が………――マネ・カタログをめぐって
モネの花畑のように
投げ捨てる土
幸福なポジティヴィスト
月と水仙
真ん中の部屋
真冬の切迫――『鏡・空間・イマージュ』に寄せて
雪崩れる鏡――「生の日曜日」のために
〈不毛〉の系譜学
キーワード「戦争」
「戦士」と共同体
国家と戦争
原罪と黙示録――ホッブズ、へーゲル
絶滅主義
戦車の思想
ポスト・モダンと身体のアルカイズム
恋の囚われ
吉田健一は分裂病直前の静けさとざわめきとひしめきを生きる
中世への途上
1 覚書:映像のフーコー
2 スコトゥスの擾乱の魅力
3 サハラと《存在〉の一義性――ブレッソン/スコトゥス1
4 〈モデル〉・動詞・〈出来事〉――ブレッソン/スコトゥス/ドゥルーズ2
5 『経験論と主体性』を巡るノート
6 ディオゲネスの贋金
丹生谷貴志のために
『光の国』に寄せて|青山真治
『光の国』異聞|小林康夫
解説 丹生谷貴志、今日………|石川正義
解題(初出一覧)