アウシュヴィッツとラーフェンスブリュックへの強制収容体験を経て、その記憶を書きしるすことで証言したフランス人レジスタンス女性、シャルロット・デルボー。ともに逮捕された夫を銃殺され、一緒に闘った仲間たちを次々と喪った彼女は、収容所内で演劇を上演し、パンと引き換えに本を手に入れる。あらゆるものを剥ぎとられてなお、戯曲を暗唱し、詩を想起する。「息を引きとった者たちは歌わない。でも、息を吹き返すやいなや演劇を上演するのだ」――死の知識の無益さに抗う、文学の力。
「あなたたちはあらゆるものを剥ぎとられても、人間から思考し想像する能力だけは奪うことができないと言うだろう。あなたたちは知らないのだ。人は一人の人間を、下痢に腹をゴロゴロ言わせる骸骨に変えることができ、この人から思考する時間と思考する能力を奪うことができる。想像的なものは、十分な食べものを与えられ、自由な時間のゆとりに恵まれ、自分の夢を育むための基本原理を好きなように使える身体の、最初の贅沢品なのだ。アウシュヴィッツでは夢は見られなかった、うなされただけだ」(本文より)。