グローバルな「帝国」の出現に、芸術はいかに応答しうるのか
近代における情報・通信メディアや複製技術の発達は、私たちの社会構造や身体感覚を大きく変容させてきた。 そして現在、電子的なネットワークは世界を覆い尽くし、グローバルな「帝国」が新たに出現しようとしている。 舞台芸術はどのようにして、その現実に応答しうるのか。電脳社会における身体や空間の表象を根源的に捕らえ直し、 映像やコンピュータを用いた作品の可能性を検証する。
舞台芸術02
¥2,000 (税別)
責任編集=太田省吾・鴻英良
特集=メディア・テクノロジー
- 刊行年月:2002年11月6日発売
- A5判(タテ209×ヨコ148×ツカ15)並製312頁カバー装
- 本体価格2,000円
- ISBN:4-901477-52-8
目次
引用テクスト—-言語メディアの試み 太田省吾
メディア・テクノロジー批判と「アート」の消滅 鴻英良
ジョン・ジェスラン インタヴュー 聞き手・構成=内野儀 われわれは今どう生きているのか?
メディア、パフォーマンス、規律群島 ピーター・エカソール 訳=森山直人
流刑地の秘書たち 豊島重之
共同討議 メディア・テクノロジーと錯乱する身体 酒井隆史/海上宏美/八角聡仁/鴻英良
〔ポストスクリプト〕私たちは技術的状態の中にいる 海上宏美
メディアとパフォーマンス—-境界に沿って ジョハンネス・ビリンジャー 訳・解題=北野圭介
アートの黒点 ポール・ヴィリリオ インタヴュー
聞き手=カトリーヌ・ダヴィッド 訳=長原豊 解説=鴻英良
身体の恐怖 北村明子
メディアあれこれ—-交流・トーク・イベント・諸活動を讃えて ぺぺ長谷川
ピナ・バウシュという「ミデイウム巫女」を巡る「メディア」の政治学 エグリントン佐藤みか
「夢」の体制—-殲滅される身体 清水信臣
エコロジー的転回—-小説から映画へ スガ秀実
シンポジウム 映像・身体・空間—-『Double/分身』をめぐって
伊藤高志/山田せつ子/稲垣貴士/倉石信乃/小林昌廣/八角聡仁
■時 評 ■
想像力を奪還する—-「歴史と地理」を回復するために 内野儀
放蕩児の帰還—-舞踏の捏造 國吉和子
批評における眼の機能 小林昌廣
ドイツ演劇—-壁崩壊後のさらなる変位 谷川道子
■連 載 ■
観世榮夫 わが演劇、わが闘争2 インタヴュー 聞き手=渡辺保
過渡期としての舞台空間—-小劇場演劇における「昭和三〇年代」1 森山直人
やさしい現代演劇2 川村毅
ブレヒトと方法2 フレドリック・ジェイムソン 訳=大橋洋一/河野真太郎
◎付録◎
年表・日本の演劇0909-1999 八角聡仁
舞台芸術研究センターとは
京都造形芸術大学(学校法人瓜生山学園)が2001年4月に開設した舞台芸術研究センターは、 舞台芸術の全創造過程を研究対象として、乖離しがちであった創造の現場と学術研究とのより有機的な結びつきを推進しています 。京都芸術劇場(「春秋座」「studio 21」)という学内劇場を活用することで、この関係が当センター独自のものとして確立され ることとなります。また、映像・舞台芸術学科を中心とした学内研究員による上演実験とその研究活動のみならず、学外の研究員や 国内外の研究機関との共同研究など、過去にない新たな舞台芸術研究のネットワークづくりを目指します。現在の日本の舞台芸術、 文化情況が狭窄的ではないかという共通理解のもと、それを解放するための多様な試みとしての『舞台芸術』を年3回刊行します。
http://www.k-pac.org 住所:〒606-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116
TEL:075-791-9437 (舞台芸術研究センター事務所)