映画館が映像を体験する特権的な場を提供していた時代がとうに過ぎ去り、いたるところで──携帯電話やタブレットPCで、美術館やギャラリーで、乗り物やレストラン、都市景観のなかで──映像が体験され、「消費」されるようになった現在。本特集は、美術批評家ロザリンド・クラウスなどが近年提唱しているポストメディウム概念を手引きとして、このように映像が飽和した状況を包括的・批判的に論じる。領域を横断して作用するポストメディウム概念の雑食的な生産性に眼を向け、映像メディウムが内側から解体していく契機を捉える試み。
表象08
品切
品切重版未定
特集:ポストメディウム映像のゆくえ
- 刊行年月:2014年4月14日発売
- A5判並製256頁
- 本体価格1,800円
- ISBN:978-4-86503-013-6
目次
◆巻頭言◆
「すべての芸術は音楽の状態を憧れる」、再考(岡田温司)
◆特集◆ポストメディウム映像のゆくえ
メディウムのかなたへ──序にかえて(門林岳史)
共同討議:ポストメディウム理論と映像の現在(加治屋健司+北野圭介+堀潤之+前川修+門林岳史)
メディウムの再発明(ロザリンド・E・クラウス/星野太訳)
多義性の摘出──実験映像におけるポストメディウム論の有用性(阪本裕文)
ポストメディア時代に向けて(フェリックス・ガタリ/門林岳史訳)
三十五年後――「見出せないテクスト」再考(レイモン・ベルール/堀潤之訳)
ベルールの反時代的考察――「三十五年後――「見出せないテクスト」再考」の余白に(堀潤之)
◆小特集◆ドゥルーズの時代
共同討議:『ドゥルーズの哲学原理』と『動きすぎてはいけない』(國分功一郎+千葉雅也+堀千晶+佐藤嘉幸)
◆投稿論文◆
包含、屈折、反響――ドナルド・ジャッドのパースペクティヴ(荒川徹)
生起、移行、翻訳――あるいはポール・ド・マンのイデオロギー批判(吉国浩哉)
「瞬間」に耳を澄ますこと――モーリス・ブランショにおける声楽的概念としての「歌」(高山花子)
ケージから離れて――クリスチャン・ウォルフと間隙の作法(久保田翠)
◆書評+ブックガイド◆
「形式」と「形姿」のはざまで――石田圭子『美学から政治へ――モダニズムの詩人とファシズム』書評(竹峰義和)
想起のインフラストラクチャー――香川檀『想起のかたち――記憶アートの歴史意識』書評(松浦寿夫)
マンガの両義性(反映論/表現論)の析出――杉本章吾『岡崎京子論――少女マンガ・都市・メディア』書評(夏目房之介)
「同じもの」を見るということ――田中祐理子『科学と表象――「病原菌」の歴史』書評(橋本一径)
サスペンス映画の論理と倫理――三浦哲哉『サスペンス映画史』書評(野崎歓)
「敗戦後」と「近代以降」のあいだ:晩期前衛時代の日本美術を鳥瞰する歴史史料の英訳選集を吟味する――『From Postwar to Postmodern: Art in Japan 1945-1989』書評(稲賀繁美)
ドストエフスキーは預言者ではなく〈ミディアム〉の作家――番場俊『ドストエフスキーと小説の問い』書評(桑野隆)
表象文化論学会(The Association for Studies of Culture and Representation)
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