文字と記憶の抹殺としての文書遺棄、有事のたびにくすぶる核の惨禍と脅威、人新世における環境破壊の深刻な局面……。災厄、終末、それらと結びついてきた黙示は、私たちを取り巻くアクチュアルで切迫したテーマであり、同時に表象にまつわる普遍的な論点でもある。「アポカリプスの表象/表象のアポカリプス」と題した特集では、気鋭の論客たちがそれぞれの専門領域から徹底討議する。未邦訳のブランショをはじめ3篇の翻訳テクストと、1篇の寄稿論文も掲載。このクリティカル(批判的/危機的)なテーマについて、思考の見取り図を提示する。
表象14
¥2,000 (税別)
特集:アポカリプスの表象/表象のアポカリプス
- 刊行年月:2020年4月20日発売
- A5判並製244頁
- 本体価格2,000円
- ISBN:978-4-86503-097-6
目次
◆巻頭言◆
人文学のあらたな自由へ向けて」田中純
◆特集◆「アポカリプスの表象/表象のアポカリプス」
「緒言」岡田温司
共同討議「アポカリプスの表象/表象のアポカリプス」郷原佳以+桒山智成+中尾麻伊香+吉本光宏+岡田温司+木下千花[司会]
「アポカリプスは失望させる」モーリス・ブランショ|郷原佳以訳
「アポカリプスは(いまなお)失望させる」アレンカ・ジュバンチッチ|髙山花子+髙村峰生訳
「ブロブ、あるいは泡」ペーター・サンディ|吉松覚訳
「人新世と映画のアポカリプス」吉本光宏
◆投稿論文◆
「「言葉」から「身体」へ――J・マッテゾンにおける「声楽優位論」」岡野宏
「「一人称単数」の語りという実験――オーソン・ウェルズのラジオ・ドラマと『宇宙戦争』」川﨑佳哉
「武満徹《閉じた眼》におけるモティーフの操作と「夢」の美学」原塁
「ベルクソン『物質と記憶』の哲学的自我――イマージュと〈私〉」福尾匠
◆書評+ブックガイド◆
「生活の総合的構成――河村彩『ロシア構成主義――生活と造形の組織学』書評」本田晃子
「『ドキュマン』を〈歴史〉から読む――酒井健『バタイユと芸術――アルテラシオンの思想』書評」大池惣太郎
「声の群れのドラマとして――須藤健太郎『評伝ジャン・ユスターシュ――映画は人生のように』書評」三浦哲哉
「そのまなざしを翻訳しなければならない――田中祐理子『病む、生きる、身体の歴史――近代病理学の哲学』書評」大橋完太郎
「美術史の建築家――古川萌『ジョルジョ・ヴァザーリと美術家の顕彰――16世紀後半フィレンツェにおける記憶のパトロネージ』書評」田中純
「写真に憑かれた写真論――前川修『イメージを逆撫でする――写真論講義 理論編』書評」林田新
「物質的パースペクティヴィズム――荒川徹『ドナルド・ジャッド──風景とミニマリズム』書評」平倉圭
「身体の狂気と言語の狂気――平倉圭『かたちは思考する──芸術制作の分析』書評」千葉雅也
表象文化論学会(The Association for Studies of Culture and Representation)
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