文化融合主義ではない多文化主義を透視する〈解放のポリティクス〉
同一性に基づく政治には暴力に向かう性質が潜在的に備わっている。本書は、文化と野蛮のアポリア的な関係を浮き彫りにし、利己と自律に関するカント、ニーチェ、マルクス、フロイト、アドルノらの論点、さらにはチャールズ・テイラーやハーバーマスといった近年の思想家の議論を参照しつつ、「多文化主義」をより幅広い文脈の中で捉え直す。理想化と従属化、普遍主義と敵対感、自己創出と他者犠牲……これらの表裏一体化を根本的に批判し、民主主義に潜む暴力性を再審に付す。
デリダ=ハーバーマス以後の現代思想の最前線で活躍する未邦訳の重要思想家たちの星座を出現させるアクチュアルなシリーズ、「暴力論叢書」の第二弾!
「彼のテクストはきわめて印象的で、独創性に満ちており、賞賛に値する……彼の解釈の中に数多く見られる卓抜で力強い身振り。」ジャック・デリダ
原書: “Heterautonomien – One 2 Many Multiculturalisms -“, Werner Hamacher, 2003.