条件なき大学 附:西山雄二「ジャック・デリダと教育」
ジャック・デリダ

¥2,400 (税別)

西山雄二[訳]

大学と知の未来を問い直す、著者最晩年の渾身の講演録。
詳細な訳者解説を付す。

  • 刊行年月: 2008.3
  • A5判並製カバー装176頁
  • 本体価格2,400円
  • 22cm
  • ISBN978-4-901477-40-6

人間の未来、知の未来、教育の未来をかけて、いまこそ危機に挑む! あらゆる規範と前提を問い直し、権力の数々の横暴に対して抵抗を試みる《新たな人文学》と、公共空間の再創造を構想する、著者最晩年の渾身の講演録。「時間をかけてください、しかし、急いでそうしてください。何があなた方を待ち受けているのか、あなた方は知らないのですから」(デリダ)。

本書より:「私が「新たな」〈人文学〉という表現によって何を言おうとしているのか、これから明確にしてみましょう。これらの議論が批判的なものであろうと、脱構築的なものであろうと、それは人間、人間本性、人権、人道に反する罪、等々に関係する真理の問いと歴史に関わるのですが、それらすべては原則的に、大学のなかに、また大学のなかでもとりわけ〈人文学〉のなかに、無条件的で前提を欠いたその議論の場を、何かを検討し再考するための正当な空間を、見い出さなければなりません。それはこの種の議論を大学や〈人文学〉のなかに閉じ込めるためではなく、逆に、コミュニケーションや情報、アーカイヴ化、知の生産をめぐる新しい技術によって変容する新たな公共空間へと接近するための最良の方法を見い出すためです」。

原書: “L’Université sans condition”, Jacques Derrida, Paris: Galilée, 2001.

紹介記事

  • 新城郁夫氏書評(「みすず」2009年1・2月合併号「2008年読書アンケート」)
  • 白石嘉治氏書評(「論座」2008年7月号「読書空間」欄)

ジャック・デリダ(Jacques Derrida)
フランスの哲学者。1930年7月15日エル・ビアール(アルジェリア)に生まれ、2004年10月8日パリに没す。最近の日本語訳に以下のものがある。『哲学の余白』(上下巻、高橋允昭ほか訳、法政大学出版局、2007年/2008年)、『精神分析の抵抗』(鵜飼哲ほか訳、青土社、2007年)、『絵葉書』(全2巻、若森栄樹ほか訳、水声社、2007年/第II巻未刊)、『マルクスの亡霊たち』(増田一夫訳、藤原書店、2007年)、『フッサール哲学における発生の問題』(合田正人ほか訳、みすず書房、2007年)。

訳者 :西山雄二(にしやま・ゆうじ)
1971年愛媛県生まれ。2002年、パリ第10 大学(ナンテール)にてDEA(哲学)取得。2006年、一橋大学言語社会研究科博士課程修了。現在、東京大学特任講師およびグローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター(UTCP)」プログラム・マネージャー。著書に、『異議申し立てとしての文学----モーリス・ブランショにおける孤独、友愛、共同性』(御茶の水書房、2007年)。訳書に、モーリス・ブランショ『ブランショ政治論集』(共訳、月曜社、2005年)、カトリーヌ・マラブー『ヘーゲルの未来----可塑性・時間性・弁証法』(未来社、2005年)、ジャック・デリダ『名を救う』(共訳、未来社、2005年)などがある。

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