法は人間を秩序のもとにおき、そこから外れる者を裁く。みずからを正当化する法の暴力に迫り、歴史を貫くその自在な支配に鋭い釘をさす、鏤骨の一撃。法の〈正体〉があばかれる。スペイン・カタルーニャ出身の異貌の哲学者の主著、本邦初訳。暴力論叢書第五弾刊行。
原書: Sodome : Exergue à la philosophie du droit, Paris: Albin Michel, 1991
¥3,200 (税別)
馬場智一ほか[訳]
西欧社会を長らく支配し続ける法の本質的暴力性を解剖。
シリーズ「暴力論叢書」第5弾。
法は人間を秩序のもとにおき、そこから外れる者を裁く。みずからを正当化する法の暴力に迫り、歴史を貫くその自在な支配に鋭い釘をさす、鏤骨の一撃。法の〈正体〉があばかれる。スペイン・カタルーニャ出身の異貌の哲学者の主著、本邦初訳。暴力論叢書第五弾刊行。
原書: Sodome : Exergue à la philosophie du droit, Paris: Albin Michel, 1991
序文 遅かれ早かれ
第一章 全体=無
法の地理学
石蹴り遊び。全体化への永劫の渇望
結び目のある縄
全体化するアリストテレス、トマス、ヘーゲル
全体性。法、学知、政治の概念
法外、澄んだ水と暖かい皮膚
第二章 無=神(神即無。無即神)
第三章 神=法
歴史という法あるいは法という歴史
式服と外套――歴史の法服
縄の歴史とその法
炎の歴史とその法。ソドム
真昼の法と月の法。王の理性と教皇の理性
一者のさまざまな歴史、あるいは法の血
「直立の法-人間」の悲しき垂直性
第四章 法=きみ
フォイエルバッハとらい病人
ヘルメス――無法者たちの法
平等な者たちのそぞろ歩き
終章
訳者解説 『ソドム』を読み解く
全体性、情感性、隠れたる神(渡名喜庸哲)
神聖なる法の系列的歴史(馬場智一)
愛と対話の哲学(柿並良佑)
訳者あとがき
ルイ・サラ-モランス 主要文献
ルイ・サラ-モランス その生涯と奇跡
ルイ・サラ-モランス(Louis Sala-Molins)
1935年スペイン・カタルーニャ地方生まれ。フランスの政治哲学者。50年代後半に渡仏し、ジャンケレヴィッチに師事、1971年に博士論文『ライムンドゥス・ルルスにおける愛の哲学』を提出。ソルボンヌ大学やトゥールーズ大学で教鞭を執った。著書に『異端審問辞典:ヴァレンシア、1494年』(1981年)、『黒人法:あるいはカナンの受難』(1987年)、『ソドム:法哲学への銘』(1991年、本書)、『啓蒙の悲惨』(1991年)、『アメリカ大陸におけるアフリカ:スペイン黒人法』(1992年)、『ヤハウェの赤い本』(2004年)などがある。邦訳論文に「国家」(浜名優美訳、『現代フランス哲学12講』所収、青土社、1986年、121-138頁)がある。
ヴラディミール・ジャンケレヴィッチはサラ-モランスの博士論文が1974 年に出版された折に、「愛について」と題された序文を寄せ、次のような賛辞を送っている。「われわれはルイ・サラ-モランスを指導したいうよりも、まさに彼の後をついていったのだった。彼は自分が受け取ったものよりもはるかに多くのものをわれわれに与えてくれた。だから、彼の仕事からわれわれが真に学んだことや、同じ闘争と同じ大義への愛着の念によって培われた長きにわたる友情を読者の方々に伝える機会を今日得ることができて、われわれとしては実に喜ばしく思う。ルイ・サラ-モランスの博士論文や彼によって翻訳され出版された数々の論考がラモン・ルル〔ライムンドゥス・ルルス〕を再発見するための大きな推進力をわれわれに与えてくれることは疑いない」(合田正人訳『最初と最後のページ』所収、みすず書房、1996 年、288 頁----編集部注: 固有名詞を本書の表記にあわせルイ・サラ-モランスとした)。
訳者:
馬場智一(ばば・ともかず)
1977年生。日本学術振興会特別研究員PD(一橋大学)。哲学史、混成語論専攻。訳書にアラン・バディウ『世紀』(長原豊・松本潤一郎との共訳、藤原書店、2008 年)。
柿並良佑(かきなみ・りょうすけ)
1980年生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。フランス思想、表象文化論専攻。
渡名喜庸哲(となき・ようてつ)
1980年生。日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)。フランス哲学、社会思想専攻。