マイナー音楽のために
大里俊晴

品切

品切重版未定

現代音楽批評のスタートラインと限界点とを同時に示す、著者最初で最後の著作集!

  • 刊行年月:2010.11
  • 46判上製528頁
  • 本体価格3,200円
  • ISBN978-4-901477-77-2
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ジョン・ケージとジョン・ケールは、ミュージックとマッシュルームの関係より近いのかもしれない。

音楽学者/ロック・ミュージシャン、大里俊晴の思考の軌跡を集成。
現代音楽批評のスタートラインと限界点とを同時に示す、著者最初で最後の著作集!

「稀な資質と奇妙な愛情と大胆な発想と単独者の倫理を持った音楽批評家・美学者の早世を惜しむ。」
細川周平(音楽学者)

■大里俊晴CD+DVD BOX
「タカラネタンチョトタカイネ」
2011年11月23日発売
詳細はこちらのリンクをご覧ください

目次

PRIVATE CHART 10

第1部

音楽への求愛
全ての抑圧に抗して コレット・マニー、その生涯と芸術/ 保守反動の愉しみ 或いはジェラール・マンセについて/ ポストモダン、ポップ、レトロを巡る覚書/ レーベル・イメージを覆す、我が愛しの”躓きの石”たち/ 「好き」と言えなくて フェデリコ・モンポウ『ムシカ・カラーダ』

音楽の異種交配
プリペアード・アンダーグラウンド あるいはケージはいかにして”地下鉄”に乗ったか、その他/ FZ あるいはマイナー音楽について/ JZからの/への迂回/ オーネット・コールマンは電話(ダイアル)する/ グールドよりグルダへ 二人の越境者のためのエスキス/ 理性の果ての恍惚へ ジョエル・レアンドルの二枚のアルバム/ アノニマスな音のユートピア/ グローブ・ユニティ『インプロヴィゼーションズ』

〈現代音楽〉の臨界点
ADORNOアンケート/ ミュージック・コンクレートの栄光と悲惨 ピエール・シェフェールを中心に/ 現代音楽とロックはどのようにしてかかわり合うことができるのか/ 見え隠れする人間主義への誘惑……/音楽、情報、環境/ ゲダリア・タザルテス 領域を超えて彷徨い続けるパフォーマー/ 自動ピアノの狂気 コンロン・ナンカロウのパリ・コンサート/ 楽しい迷宮へようこそ…… 宮岡秀行監督『リュック・フェラーリ/ある抽象的リアリストの肖像』/ 問題は依然として手付かずのまま投げ出されている シュトックハウゼンの音楽の本質について/ 平石博一、或いは”音楽以前”/ 私は一五分だけフルクサスだったことがある

声と言葉
声をめぐる断想/ 声とその影 二重音唱法のプロブレマティック/ 声を聴く 声の主題による連想ゲーム/ 早川義夫賛江/ 言葉を乗り越える過剰な身体/ 作詞講座”あなたもゲンスブールになれる”

音楽のトポグラフィ
ロックと非-西欧 不自然な共犯関係を/ 極地でお茶を ポール・ボウルズと音楽を巡るディヴェルティメント/ “世界”の奇妙さについて モンド・ミュージックを読む

批評家たち
追悼 清水俊彦 終わりのない冒険にむけて/ 倫理的な少年 長岡鉄男 あるいは不可能なオーディオについて/ セリーヌのシャンソンを巡って/ 間章氏めぐる魂の交感 追悼コンサート「12+12=24」/ AA 未明の思索家 間百合の霊に捧ぐ/ ジャズ批評の七〇年代 間章と平岡正明を中心に/ 『AA―音楽批評家・間章』上映に寄せて

第2部

ワールド・カルチュア・マップ/フランス
ダバダバダで始まる話 ブリジット・フォンテーヌとサラヴァ・レーベルのこと/ 不思議の国のルイス・キャロル あるいはパリのカナダ人たち/ 無用に囚われて ジェラール・マンセ 或いはジャンル・マカーブル/ 新譜二・五題アントワーヌ・トメ、ジャン・ヴァスカ、ダヴィッド・マクネル/ ペール・ラシェーズに知覚の扉は開いたか ジム・モリソン二〇周忌について/ ワールド・ミュージックvsフォルク・ミュージック イントロ篇/ ミュージシャンたちの秘められた関係について クローディア・フィリップ、エリ・メデーロス/ 不真面目さの彼方に ボビー・ラポワント/ パリ-ブエノスアイレス あるいは、私は如何にしてある作家の残したレコードを手に入れることになったか/ オジサンたちは開き直る ジャック・デュトロン、ニーノ・フェレール/ 自明なものを語ることの困難についての対話 あるいはシャンタル・グリムについて/ 形而上学的ケージ事情案内 フランス編/ ジャンヌ・ダルクと黒髭 ジャック・リヴェットの新作を巡って/ 「地に墜ちた愛」は地に墜ちたか リヴェットの作品のヴァージョンを巡って/ シャンソン・フランセーズを巡る二冊の本『シャンソンのアーティストたち』『フランス・シャンソンの50年』/ ロベール、セリーヌ、チェッカーズ あるいはフランスのマック事情について その1/ ジョイスによるジャズ アンドレ・オデール『アナ・リヴィア・プリュラベル』/ 苦いサラエボ サラエボ組曲(スイート) あるいは燃え上がる図書館について/ ヴェトナムから(もフランスからも)遠く離れて インドシナ系ワールドミュージックの可能性?

フランス・フリージャズ・レトロスペクティヴ
資料の山をひっくりかえしていたらサラヴァ・レーベルについてもっと知りたくなった/ 非- 場 あるいは虚(くう)の響(おと)/ “想像的民族芸能探求協会”探求その1/ “想像的民族芸能探求協会”探求その2/ “想像的民族芸能探求協会”探求その3/ 猫とインディアンと北大西洋条約機構?あるいはNATOレーベルについて/ 猫とインディアンと北大西洋条約機構—-あるいはNATOレーベルについて その2/ 猫とインディアンと北大西洋条約機構—-あるいはNATOレーベルについて その3/ フランス・ベーシスト群像

マンガ家たち
倉多江美ムダ無駄帳/ 『棒がいっぽん』高野文子/ 高野文子 アイデンティティーなきアイデンティティー/ 一條裕子 肥大する些末主義/ 喜国雅彦 谷崎を読む梶原一騎/ やまだないと 性を通じてさらに深い夜へ/ 山本直樹 抒情と猥褻を原点として/ 鈴木志保 惨劇の後に流れるメロディー/ 鈴木志保と惨劇の後の世界/ 終末から歩み出す 解題にかえて

彼自身による弁明
大学は閉じてはいけない/ 反動ジジイとして生きる

初期文集
飽和都市における音楽の不可能性に関する考察/ 「Free Music Space」のチラシから /役立たずの彼方へ/ 役立たずの彼方に 第2回/ 役立たずの彼方に 第3回/ 役立たずの彼方に 第4回/ 参加者アンケート/ I SING GUITAR ELECTRIC フリー・エレクトリック・ギター症候群

解題 あるいはライナーノート 須川善行
書誌
大里俊晴(1958-2009)年表
解説 躓きの音 細川周平

紹介記事

  • 佐々木敦氏×中原昌也氏書評(「nobody」36号[2011年11月発行]「”そうした態度を自分に課しているという身振りを敢えてしていた”」)
  • 竹田賢一氏インタビュー(「図書新聞」2011年3月19日付「ある「モダニスト」の格闘」)
  • 行川和彦氏書評(「ミュージック・マガジン」2011年2月号「ランダム・アクセス」欄)
  • 陣野俊史氏書評(「サンデー毎日」2011年1月16日号「サンデーらいぶらりぃ BOOKライブハウス」欄)
  • 塚原史氏短評(「東京新聞」2010年12月26日付「読書」欄「2010私の3冊」)
  • 片山杜秀氏短評(「読売新聞」2010年12月26日付「本よみうり堂」欄)
  • 畠中実氏書評(「intoxicate」89号(2010. 12. 20発行)「O-CHA-NO-MA REVIEW:BOOK」欄)
  • 塚原史氏短評(「図書新聞」2010年12月25日付「’10年下半期読書アンケート」)
  • 無記名氏書評(「アイデア idea」2011年1月号(通号344号)書評欄)

大里俊晴(おおさと・としはる)
1958年2月5日新潟生まれ。70~80年代には「ガセネタ」「タコ」などのバンドで活動。早稲田大学文学部を卒業後、87~93年、パリ第8大学にてダニエル・シャルルのもとで音楽美学を学ぶ。97年から横浜国立大学にて現代音楽論、マンガ論、映像論などの講義を担当。著書に『ガセネタの荒野』(洋泉社)。音楽批評家・間章に関するドキュメンタリー映画『AA』(監督:青山真治)で全編にわたりインタビュアーを担当。2009年11月17日永眠。享年51歳。

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