「世界の広がりと深みを放浪し、ありとあらゆる王国を探求せよ」(『英雄的狂気』より)。その先鋭的な宇宙観のゆえに異端宣告を受け、改悛を拒絶して生きながらにして火刑に処された16世紀イタリアの哲学者ジョルダーノ・ブルーノ(1548-1600)。トマス・アクィナスの厳密さとルネ・デカルトの明晰さのはざまに生まれ落ちた彼は、はたして近代科学の先駆か、それとも古代呪術の末裔か。ブルーノが開いた〈近代〉を生の多様性の発見として再評価し、たえず変化し続ける動的関係に充ち満ちた〈無限宇宙〉の哲学を読み解く。ジェイムズ・ジョイスの2篇のエッセイ「ブルーノ哲学」「ルネサンスの世界文学的影響」の新訳を附す。シリーズ「古典転生」第7回配本(本巻第7巻)
シリーズ・古典転生
ジョルダーノ・ブルーノの哲学
岡本源太
品切
16世紀イタリアの哲学者ブルーノを現代に活きいきと蘇らせる若き学究のデビュー作。
- 刊行年月: 2012.3
- A5判上製232頁
- 本体価格3,800円
- 22cm
- ISBN978-4-901477-92-5
目次
はしがき
序章 ジョイス——憐れみの感覚
第一章 ディオ・デ・ラ・テッラ——人間と動物
第二章 セラピス——感情と時間
第三章 コヘレト——無知と力能
第四章 ペルセウス——善悪と共生
第五章 ヘレネ——芸術と創造
第六章 アクタイオン——生死と流転
終章 ブルーノ——生の多様性
附録 ジェイムズ・ジョイス「ブルーノ哲学」「ルネサンスの世界文学的影響」
あとがき
年譜/文献/索引
紹介記事
- 福島聡氏短評(「みすず」2013年1・2月合併号「2012年読書アンケート」)
- (フ)氏書評(「書標」2012年5月号「書標・書評」欄)
岡本源太(おかもと・げんた)
1981年生まれ。専門は哲学、美術史、思想文化論。現在は関西大学、京都造形芸術大学非常勤講師。京都大学博士(人間・環境学)。共著書に『『明るい部屋』の秘密』(青弓社、2008年)、共訳書にジョルジョ・アガンベン『事物のしるし』(筑摩書房、2011年)など。