幻、X線、原爆、透明人間——映画作品や文学、そして哲学における「没視覚的なもの」を考察する、画期的な映像文化論。20世紀の放射性の光において見られうると同時に見られえないものの物質性についての地図を作成し、秘められた影のアーカイヴをめぐる思弁的読解と、内面性の視覚的構造の分析を提示する意欲作。
【芸術論叢書、第二回配本】装幀:宇平剛史
本書で言及される主な人物や作品:谷崎潤一郎『陰翳礼讃』、H・G・ウェルズ『透明人間』、R・エリスン『見えない人間』、リュミエール兄弟『工場の出口』、A・レネ『ヒロシマ・モナムール』、R・コーマン『X線の目を持つ男』、小林正樹『怪談』、勅使河原宏『砂の女』、黒沢清『CURE』、是枝裕和『幻の光』、デリダ『アーカイヴの病』、ドゥルーズ『意味の論理学』、フロイト『モーセと一神教』、メルロ=ポンティ『眼と精神』、etc.
原書:Atomic Light (Shadow Optics), University of Minnesota Press, 2005.