武満徹や寺山修司、湯浅譲二などと数々の実験映画/映像を世に問うてきた松本俊夫、20数年ぶりの単著! 〈逸脱〉という概念を核に、制度的なものの規範を揺さぶり、創造的カオスを誘発し続けるそのラディカリズムの現在性とは……。1980年代から現在にいたるまでの論考と対話を精選した著者6冊目の映画/映像批評集。
逸脱の映像 拡張・変容・実験精神
松本俊夫
¥3,600 (税別)
金子遊[編]
伝説的映像作家の20数年ぶりの単著。
1980年代から現在にいたるまでの論考と対話を精選。
- 刊行年月: 2013.9
- 46判上製312頁
- 本体価格3,600円
- 20cm
- ISBN978-4-86503-004-4
目次
I 逸脱の映像
逸脱の映像とは何か/〈わからない〉ということ/映像の詩的機能/形態的規範を疑え/期待図式と意味の支配/述語的世界としての感性/無意識・他者・欲動/狂気と沈黙の映像/ズレとはぐらかし/詩的生成性のメカニズム/統辞と範列の異化/構造化活動の前景化/物質的組成の自己指示/概念の映像と映像の概念/装置芸術としての映像
II 論考
明日の映像/ニュー・メディアの両義性/ニュー・テクノロジーと映画芸術/映像体験における身体の生成システムについて/実質・感覚・身体性/映像と文化変容
III 対話
映像の関係場をめぐって(松本俊夫×『季刊ヴォワイアン』編集部)/アヴァンギャルドの現在性--ルプリーズ=反復・繰り返し(松本俊夫×西嶋憲生)/映像史のパラダイム・チェンジ(松本俊夫×武邑光裕)/イメージと思考を喚起するもの(松本俊夫×武満徹)
あとがきにかえて(聞き手=金子遊)
初出一覧
紹介記事
- 内藤誠氏書評(「キネマ旬報」2013年12月上旬号「映画・書評」欄「最先端の映像についての論考」)
- 近藤亮介氏短評(「美術手帖」2013年12月号「INFORMATION BOOK」欄)
- 風間正氏書評(「neoneo web」2013年10月25日付「ブックレビュー」欄)
松本俊夫(まつもと・としお)
1932年生まれ。映画監督・映像作家・映画理論家。『薔薇の葬列』『ドグラ・マグラ』などの劇映画と平行して、実験映画やビデオアートの制作、批評活動をおこなう。著書に『映像の発見』(三一書房、1963年/清流出版、2005年)、『表現の世界』(三一書房、1967年/清流出版、2006年)、『映像の変革』(三一書房、1972年)、『幻視の美学』(フィルムアート社、1976年)、『映像の探求』(三一書房、1991年)。編著書に『美術×映像』(美術出版社、2010年)。近年の美術展に『松本俊夫 映像の変革』展(川崎市市民ミュージアム、2006年)、『白昼夢 松本俊夫の世界―幻想のラディカリズム』展(久万美術館、2012年)など。
編者:
金子遊(かねこ・ゆう)
映画作家・批評家。編著書に『フィルムメーカーズ』(アーツアンドクラフツ、2011年)。
ブックデザイン:
宇川直宏(うかわ・なおひろ)
映像作家・DOMMUNE 代表。