E・パノフスキー 著 木田元 監訳
柱がたわんで見えないよう、ふくらみ=エンタシスをほどこす。湾曲した網膜像がもたらす球面遠近法が古代を支配する。遠近法は空間の認識、神と世界と私の関係の秩序であった。主観的な仮象を生むとしてプラトンこれを退けたが、遠近法は「絵画の舵」(レオナルド)であり、無限を所産的自然に変え、カントによって形式化される空間を準備するのだ。
精神生理の数学への変換 * 古代=神権の終わり、と 近代=人間の始まりとを刻印する、 二つの遠近法 にはさまれた精神史の劇
1892−1914年。カッシーラーとともにワールブルク文庫を代表する知的巨人。イコノロジーを確立して美術史学に新しい局面を開き、20世紀文化科学を牽引した。
美術史と思想史にまたがる、この滅法面白い書物が、哲学選書版によって多くの読者に読んでいただければ、訳者として欣快この上ない。
仏・英・伊など各国語に翻訳されている、歴史的名著を「哲学選書」の第1冊に選びました。遠近法とは、空間認識すなわち無限と私の発見のこと。息詰まる展開を堪能してください。 続いてラッセルほか『プリンピキア マテマティカ』など次々「選書」になります。乞うご期待。
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