『生命理論 ――第1部 生成する生命 第2部 私の意識とは何か』』
郡司ペギオ−幸夫 著
ひとは世界の(中の)一点に座して、内側から世界を見る。本当にそうか。実は、世界全体(という外部)が前提されない限り、世界を内側から眺めるという表現は意味を持たないのだ。内側からの描像と外側からの描像とが捻れながら補完しあう。すると、真の問題は何か。これが本書の主題だ。哲学文庫二分冊『生成する生命』と『私の意識とは何か』を統合したcomplete版。郡司理論の全貌が顕わになる。
ある一人の行為は つねに世界と対峙し、それゆえに 必ず未知の世界を開く、という 感動的な世界像を描き出した。 (推薦=保坂和志) 一つの革命的世界観への 躍動を感じる。 (推薦=茂木健一郎)
3 生成の三つの様相
1959年に生まれる。東北大学理学部を卒業して、同大学院理学研究科博士課程修了。神戸大学助手を経て、99年同大学理学部教授。理論生命科学。著書に『原生計算と存在論的観測――生命と時間、そして計算』(東京大学出版会、04年)があるほか、共著多数。なお哲学書房から02年と03年に「哲学文庫」として刊行され品切れとなっていた『生成する生命』と『私の意識とは何か』は、本書complete版『生命理論』に統合された。
今回、本書は元の形に戻った。軽装版か、分厚い上製本かは、私にとって重要なことではないが。
哲学文庫版二分冊、特に『生成する生命』の品切れが長く、ご迷惑をおかけしましたが、これで安堵いたしました。
そこに著者の論理を理解するか否かについて、関所が一つある。普通の人が話を切るところで著者の話は切れておらず、普通の人が切れると思わないところで、著者の話は切れる。…おかげでまたわからないことが増える。その意味では迷惑な本だが、若い人にはぜひ挑戦してもらいたい。[「毎日新聞」06.03.12 評者=養老孟司]
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