『モデルニテ・バロック――現代精神史序章』
坂部恵 著
世界を生成することばの形而上学を継ぐバロックは、一つの時代の終りに立ち会う者の生と思考のスタイルとして、モデルニテと通低する。モデルニテとは時間と時間を越えたものとの総合だ。世界は今モデルネの喪の中にある。エリウゲナなどヨーロッパ霊性と、ヒンズー的想像力の嫡子である空海を結ぶ霊感の源から、新たな歴史の次元を組み上げる。
露頭する バロック哲学の 掘削の記録 千年単位の 歴史の展望 スピリチュアル・ヒストリー の奔流に汲む 今、最もアクチュアルな 哲学的思惟
1936年神奈川県に生まれる。東京大学大学院哲学科を修了。東京大学教授をへて、現在は東京大学名誉教授。詩神の寵愛のもと、鋭い思考とブリリアントな文体をもって、たぐいまれな哲学的思惟をくりひろげる。70年代の『仮面の解釈学』、『理性の不安』から97年の『ヨーロッパ精神史入門――カロリング・ルネサンスの残光』までおおくの著書がある。共著、編訳書もおおい。
これは、わたくし自身の、ただいまの態度表明のつもりです。
バロック的モデルニテという視点から、「ポストモダン」などという流行語を粉々にする、精神史の射程をさししめして、坂部哲学の新しい展開が始まります。
「…モデルニテの成熟をすくいあげようとする、大胆な姿勢が明らかだろう。…新しい見取り図を描くことで、哲学史の全体を貫く地下水脈を掘りだしている。」(「読売新聞」05年6月12日)
Copyright (C) TETSUGAKUSHOBO Co.,Ltd. All rights reserved.