『肉中の哲学 ――肉体を具有したマインドが西洋の思考に挑戦する』
G・レイコフ、M・ジョンソン 著 計見一雄 訳
意識には到達できないニューラルな過程に分け入って、概念や推論の構造を明らかにし、メタファーが脳内に実体化される機序を解く。これら身体化された経験がマインドと身体を分離させるのだ。この分離の上に全哲学は展開される。それにもかかわらず肉に埋め込まれたマインドは「世界の肉」から分離できない。ポストモダン哲学以降の新しい哲学が始まる。
哲学的動物たる ヒトのための 最深層の資源、 それが本書です
人間の本性の 新しい理解
「汝自身を知れ」 への、これは、 脳科学からの回答です
カリフォルニア大学バークレイ校の言語学教授。チョムスキーと袂をわかって認知意味論を拓いた言語学者だが、メルロ=ポンティの引力圏で哲学に接近。著書は多く、邦訳されているものに『認知意味論』(紀伊国屋書店)『レトリックと人生』(大修館書店)などがある。
オレゴン大学教授、哲学部長。著書にThe Body in the Mind and Moral Imaginationなどがあるほか、レイコフとの共著『レトリックと人生』(大修館書店)などがある。Philosophical Perspective on Metaphorsの編者でもある。
計見一雄(けんみ かずお)
1939年東京に生まれる。千葉大学医学部卒業。精神医学に「精神科救急医療」の領域を開いて実践し、医療に携わっている。千葉県精神科医療センター長。著書は『脳と人間』(三五館)ほか数多い。
精神生理学を作り直さないと、もう間に合わない。その基盤整理にこの本は大いに役立つ。
ニューラルなプロセスに関するデータが活きがよく、「メタファー生成」の解明もリアル。分析哲学とポストモダン哲学を覆すところは痛快。本書の先、ここからが哲学の正念場。希望が見えてきました。
<観念の袋小路に入った哲学を「人間はお肉だよ」という生々しさのなかで作なおそうとするとき、まず最初に読むべき本である。>(04年11月21日付「信濃毎日新聞」ほか)
「(1) 心は本来、身体化されている、(2) 思考はたいてい無意識のものである、(3) 抽象的概念は大幅にメタファー的なものである、この三つのポイントを、本書は現代認知科学の成果によって論証しようと試みる。……新たな哲学の地平を切り開こうとする著者たちの論考は綿密で、”知的格闘技”ファンなら興味深く読めるだろう」(野村進・04年11月14日付け「朝日新聞」書評より)
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