哲学書房 出版目録
哲学書房は2016年1月をもって廃業いたしました。出版物の版元在庫はございません。

哲学書房について出版目録生命

『スティグマと差別を超えて――脱施設化と地域ケア

浅井邦彦 著

 17世紀、狂気は俄かに社会から隔離される。今日もなおスティグマ(偏見)と差別は精神障害者を孤立させている。障害者の治療と社会復帰をはじめとする精神保健運動の動態を歴史に沿って世界の視点から明かし、脱施設化と地域ケアの方向を論ずる。哲学的思弁に回収されて、高踏的スティグマを再生産しかねない精神病理学に治療現場から警告し賦活する。

定価3,400円(税別)
395頁 A5版
2004.02.25.初版発行
ISBN4-88679-512-9-c1047 Y3400E
 

失われた能力をではなく
残された能力を開発して
社会復帰を実現する


目次
第W部
法と医療
  第一章 精神衛生法改正と精神障害者の人権
  第二章 医療法改正と精神医療
  第三章   社会復帰
  第四章 精神病院の立場から見た法改正
  第五章 保護者制度と成年後見制度の改正
――医療保護入院をどうすべきか
  第六章 介護保険に続く障害保険構想
       
第X部
  世界の視点から
    第一章   諸外国の精神保健
    第二章   「世界精神保健連盟一九九三年世界会議リポート」
    第三章   アジアにおける最近の精神科医療体系
    第四章   諸外国の分裂病治療
    第五章   精神医学・精神科医療における日中の交流
    第六章   わが国および諸外国の精神科リハビリテーションの現状
    第七章   世界からみた日本の精神保健医療の特徴
       
第Y部
  コラム
    第一章   虎の目
    第二章   時評
    第三章   論説
    第四章   アンチ・スティグマ・キャンペーン
著者について
浅井邦彦

1940年千葉県に生まれる。66年東京医科歯科大学医学部卒業、67年同大学神経精神医学教室に入局。この年から浅井病院に勤務、92年浅井病院院長となる。日本精神病院協会常務理事、日本社会精神医学会常任理事など日本の精神医学・医療において指導的役割を果たすばかりでなく、世界精神保健連盟名誉幹事など国際的な活動を行っている。また『分裂病の病院リハビリテーション』『精神科デイケア』『脳と心の調和に向って――新しい精神医療と福祉』など多くの著書がある。

著者のことば

私どもの病院では、中国やカナダ、ニュージーランドなどから留学研究生を受け入れています。つねに世界的視野にたって精神保健のあり方を考えていきたいと願っています。本書の書名となった、統合失調症に対するスティグマと差別をなくすことに全力をあげています。

編集者より

schizo(-phrenia)論は前世紀のなかば以降、哲学から芸術理論、文化諸科学、はては文芸批評に至るまで広い領域に養分を与えてきた。しかしそのschizo論そのものが、病理学と治療実践に照らして根拠のないもの(誤った議論)であるとしたら! 浅井邦彦の二著の衝撃は巨きい。

ページ先頭へ

Copyright (C) TETSUGAKUSHOBO Co.,Ltd. All rights reserved.