哲学書房 出版目録
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『脳と心の調和に向って――新しい精神医療と福祉

浅井邦彦 著

 分裂病(統合失調症)は、人格崩壊のプロセスをたどらない! つまり慢性進行性の病気ではないのだ。精神病概念の大転換が医療の新しい展開をうながしている。病院から院外のさまざまな施設へ、そしてコミュニティーケアへ。研究者にして実践家(病院長)である著者によって、mindlessの精神医学とbrainlessの精神医学を超える途がさし示される。

定価3,400円(税別)
362頁 A5版
2004.01.05.初版発行
ISBN4-88679-511-0-c1047 Y3400E
 

心の健康と
心のケアのために


フロイトとブロイラー
の世紀は終わった

目次
まえがき
 
第 I 部
精神医学研究
 
第一章
急性CO中毒後遺症(間歇型)二例の寛解にいたる
巣症状の推移について
  第二章 精神障害者の精神科受診に至る経路について
――千葉県東金市における調査
  第三章   急性期の作業療法
  第四章 分裂病の治療とリハビリテーションの現状と将来
  第五章 精神分裂病のリハビリテーション
  第六章 入退院を繰り返す患者
       
第 II 部
  精神医学と精神医療
    第一章   開放的精神医療と社会復帰運動
    第二章   デイ・ホスピタルとナイト・ホスピタル
    第三章   長期入院患者の医療とリハビリテーション
    第四章   地域に開かれた精神病院の啓発活動
    第五章   精神医療・保健・福祉におけるデイ・ケアの位置づけ
    第六章   精神科における急性期・慢性期医療とリハビリテーション
    第七章   統合失調症治療におけるコミュニティケアの重要性
       
第 III 部
  ありうべき精神医療のために
    第一章   浅井病院 医療も看護も介護も患者さんごとにふさわしく
    第二章   福祉の時代における精神科病院
――社会精神医学的視点から
    第三章   病院治療――地域精神医療との関連
    第四章   病院における実践
    第五章   精神科医療における隔離・拘束と人権確保のあり方
    第六章   隔離・拘束の最小化へ
    第七章   精神病床はいかに機能分化されるべきか
    第八章   精神科急性期治療病棟の現状と経営的課題
    第九章   二十一世紀の精神保健・医療・福祉と社会精神医学の役割
       
著者について
浅井邦彦

1940年千葉県に生まれる。66年東京医科歯科大学医学部卒業、67年同大学神経精神医学教室に入局。この年から浅井病院に勤務、92年浅井病院院長となる。日本精神病院協会常務理事、日本社会精神医学会常任理事など日本の精神医学・医療において指導的役割を果たすばかりでなく、世界精神保健連盟名誉幹事など国際的な活動を行っている。また『分裂病の病院リハビリテーション』『精神科デイケア』など多くの著書がある。

著者のことば

精神病をどう考えるべきか、わが国で独自に発展した「デイホスピタルとナイトホスピタル」などを取り入れながら開放的精神医療と社会復帰の問題をどう進めていくか、など、現状と未来を論じました。

編集者より

文化科学に重心をおいて、ラカン以降の様相などを気にしている間に、精神医学・医療の現場はおおきく神経科学・脳の科学に向い、そこから「心」をつかみなおしていました。ほとんどカルチャーショックの中で編集しました。

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