野矢茂樹 著
人類はウィトゲンシュタインを真に理解するのに約一世紀を要したというべきか。 本書はその記念碑。『論理哲学論考』を一点の曇りもなく解説し明晰で柔らかい言葉で語り直した。 「われわれはどれだけのことが考えられるか」という問いへの答えであり、 語り得ないものである論理と倫理を示した『論考』が生きたまま立ち上がる。野生の無限が閃く。
ほら、 これがウィトゲンシュタイン の声なんだ。 生きたまま『論考』が立ち上がる。
はじめに 11. 語りえぬものについては、沈黙せねばならない 12. 現実から可能性へ 13. 対象に至る方法 14. これでラッセルのパラドクスは解決する 15. 論理が姿を現わす 16. 単純と複合 17. 要素命題の相互独立性 18. 論理はア・プリオリである 19. 命題の構成可能性と無限 10. 独我論 11. 自我は対象ではない 12. 必然性のありか 13. 死について、幸福について 14. 『論考』の向こう 文献 注 あとがき 索引
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1954年、東京に生まれる。1985年東京大学大学院博士課程修了。 現在、東京大学大学院総合文化研究科助教授。専攻は、哲学。 主な著書に『論理学』(東京大学出版会)『心と他者』(勁草書房) 『論理トレーニング』『論理トレーニング101題』(いずれも産業図書) 『哲学・航海日誌』(春秋社)『哲学の謎』『無限論の教室』(いずれも講談社現代新書) 『はじめて考える時のように』(PHP研究所)などがあり、他に編・訳書も多い。
『論理哲学論考』という希有の魅力をたたえたこの著作を山にたとえるならば、 私は現地の案内人だ。私についてきてみてほしい。 「わからないけどかっこいい」ではなく、きっちりわかり、なるほどそうかと膝を打ってもらい、なおかつその上で「かっこいい」と感じてもらいたい。
「易しく独創的な解説」 本書はただの解説ではない。『論考』の更に上を行く『野矢論理哲学論考』を構築しようとの試みなのだ。ウィトゲンシュタインの独我論に反対する立場から、『論考』を解説している後半部は特に面白い。
池田清彦(山梨大学教授)/ 読売新聞 2002.6.23.
これは一分の隙もなくこしらえられ、磨きあげられた、一個の作品です。 しかも実に楽しく面白い。哲学の歴史にとって本書は、一つの事件です。
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