哲学書房 出版目録
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『茶の本――何が<和>でないか
 叢書=精神史intellectual history I -4 

岡倉天心・黒崎政男 著

 茶は高雅な遊びにして詩歌の域に達し、精神の幾何学にしてひとつの「宗教」をなす。地中海とバルト海にも喩えられる揚子江と黄河はそれぞれに道教と儒教をはぐくむ。道−禅の血を享ける茶の原理を天心はダイナミックに説いて、おのずからヨーロッパ近代の精神の深みを映した第一級の哲学書と成した。初版原典=英文も忠実に再現収録して、百周年記念出版。

定価2,625円(本体2,500円+税5%)
四六判・上製
ISBN4-88679-264-2 C1010
 

<和>創出の
秘儀を
解く


大いなる異質
とは何か


目次
黒崎政男 何が<和>でないか
  第1章 岡倉天心と『茶の本』
  第2章 西洋のうちに<和>を発見する
  第3章 いつも背後に天心がいた
   
     
岡倉天心 茶の本  
  第1章 人情の碗
  第2章 茶の諸流
  第3章 道教と禅道
  第4章 茶室
  第5章 芸術鑑賞
  第6章
  第7章 茶の宗匠
  原注  
  訳注  
 
THE BOOKU OF TEA,by OKAKURA- KAKUZO
年表 岡倉天心の生の時
     
著者について
岡倉天心

1862(文久2)年横浜に生まれる。幼名「角蔵」、号の「天心」は心臓のあたりにあらわれた脂肪の模様が「天」の字に似ていたから、と冗談めかして語ったという。14歳で東京大学第1期生、のち文部省に入り、東京美術学校(のちの芸大)を作り、「国宝」の制を敷くなど、文化としての<和>を創出。思念のスケールは巨大で『東洋の理想』『日本の覚醒』(いずれも原語は英文)などたぐいまれな哲学書を著す。

黒崎政男

1954年仙台に生まれる。東京大学哲学科を卒業、同大学院を修了して現在は東京女子大学教授。カントを専門とするが、人工知能、電子メディア、カオスなど、ひとが今日出会っている問題系の最深部をえぐって思索する。骨董から、カメラ、ワインまでをたしなむやわらかい知性をもって、哲学にあらたな生を与えつつある。『カント『純粋理性批判』入門』『カオスの暗礁めぐる哲学の魚』など著書多数。

著者のことば

<和>という時間の大きな流れの末端のところに、自分が確実に存在していることを、私は深く感じていた。(黒崎政男「おわりに」より)

編集者より

叢書=精神史 intellectual historyの第1回配本です。本書巻末のラインナップをご覧ください。『古事記』『キリシタン版デ・アニマ』などを含む、大きな射程をもった叢書です。

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