哲学書房 出版目録
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蓮實養老 縦横無尽 学力低下・脳・依怙贔屓

蓮實重彦養老孟司 著

個と普遍の関係を人類はいまだ調定していない。たとえば脳内の「リンゴ活動」に他ならないイデアとしてのリンゴと言語と外界のリンゴ、の同一性と差違について。あるいは具体物から直ちに「・・・とは何か」と問う問いにおいて。潜在性として在る細部に触れ(依怙贔屓)、顕在化(現勢化)させることから始めなければならない。これが本書の主題だ。

蓮実養老縦横無尽

[東大の資質に賭けた前総長] 蓮實重彦と [東大を捨てた唯脳論者] 養老孟司が侃侃諤諤論じた抱腹絶倒、快刀乱麻の快著

二つの巨大な知性が「学力低下」という問題の虚構をあばき普遍性と一般性を問い生命と情報を展望する。

四六版 176頁
定価2,200円(税別)
2002.1.20. 初版発行
ISBN4-88679-075-5
目次

第1章 血圧と学力

  1 正規分布 ------------------------------------------ 008
  教育の方法・学力低下・血圧と学力

  2 依怙贔屓 ------------------------------------------ 026
  虚構のものさし・実験科学・にせの問題

第2章 言葉と事件

  3 言葉 --------------------------------------------- 046
  国語能力・漢詩欄が消える・昏睡状態・普遍性と一般性・「うそのつき方」という講義?

  4 脳 ----------------------------------------------- 075
  適性と生命・カラスの脳・物理学は捨てない・機能と知識人

[ coda ] ------------------------------------------------ 102
  蓮實重彦によってカデンツァ風に

第3章 偏愛と真理

   養老孟司 自己同一性 --------------------------------- 112
  人体を言葉に翻訳する・言葉は止まっている・意識が自己同一性を保障・差異と同一性・言葉は硬く動かない

   蓮實重彦 好ましい細部 ------------------------------- 143
  「・・・とは何か?」という問いを禁じる・記号を目覚めさせる・プラトンの「職人」・普遍と個・差異と反復の意味

著者について

蓮實重彦

1936年東京に生まれる。東京大学文学部フランス文学科を卒業の後、パリ大学に留学、フローベル「ボヴァリー夫人」に関する論文で65年博士号。東京大学教養学部教授を経て、同学部長、副学長をつとめ、97年4月に東京大学26代総長に就任。「凡庸な芸術家の肖像--マクシム・デュ・カン論」で88年芸術選奨文部大臣賞を受賞。ほかに多くの著・訳書がある。フランス文学者、フィルムスカラーとしての学術研究にとどまらず文芸批評をはじめ文化の全域を深部において射貫く批評を国境を越えてくり展げ、97年にパリ第八大学名誉博士号、99年フランス政府の芸術文化勲章を受章している。

養老孟司

1937年鎌倉に生まれる。東京大学医学部基礎医学博士課程を了えて、67年医学博士。同大学助教授を経て、81年解剖学第二講座教授となる。この間71-72年オーストラリア、メルボルン大学に出張。89-93年東京大学総合研究史料館館長、91-95年東京大学出版会理事長をつとめる。「からだの見方」で88年サントリー学芸賞を受賞、95年にはAmuse-IWC Archiver of the year賞受賞。95年、停年より2年早く東大を退官。その後北里大学教授として人間科学を講じ、99年からは私費を投じて養老孟司シンポジウムを主宰して科学の本質を問い、あわせて若手研究者の育成に心をくだいている。

編集者より

'01年夏の始まりの猛暑をおしての速記(テキストファイル)のお手入れは、過酷なお仕事であったことでしょう。几帳面に手直しを了えられた蓮實先生は、審査委員長をつとめられるベネチア映画祭に発たれました。その時の「きっとこの本は私が10月に帰国するまで出ていませんね」という予言がみごとに当たってしまいました。「なんて長いんだこの速記」と悪戦苦闘された養老先生は、未完のままロンドンに発たれ、そして刊行は'02年1月になってしまったのでした。

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