哲学書房 出版目録
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哲学書房について出版目録魂の本性

『性のお話をしましょう
    ――死の危機に瀕して、それは始まった[魂の本性 2]

団まりな 著

 性の本質は遺伝子の修復と若返りで、遺伝子のミックスは修復の一方法に過ぎない。からだを作る細胞に運命付けられた分裂回数の限界を突破しリセットするしくみなのだ。ディプロイド(体細胞)とハプロイド(配偶子)との往還にこそ神秘を解く鍵がある。生物の複雑さの階層性を解明・理論化した著者の全研究が眺望できる独創的「性入門」。

定価2,520円(本体2,400円+税5%)
四六版・上製
ISBN4-88679-151-4-C0040
 

性、この
驚異のしくみ
を作ったのは
誰?

DNAは
運命を
支配できない

なぜ、今、
男力は低下したか?

目次
はじめに
第 I 章 性のはじまり
第一節   性とは何か
第二節   細胞の能力が高まる
第三節   死を克服する
第 II 章 DNAと遺伝子とゲノム
第一節   アミノ酸をつなぐ情報
第二節   染色体の不思議
第三節  タンパク質のはたらき
第四節  巨大分子たちが行ったこと
第 III 章 有糸分裂と減数分裂
第一節   有性生殖の三つの仕事
第二節   ディプロイド細胞の超能力
第三節  減数分裂のエキスパート
   
第 IV 章 卵と精子
第一節   卵と精子と受精卵
第二節   胚を保育する工夫
第三節  ついに胚を飼育する
   
第 V 章 身体化された哲学
第一節   からだが出来る、そして雌と雄
第二節   多細胞の個体として確立する
第三節  位置や任務を知っている細胞
   
  おわりに
あとがき
著者について
団まりな

1940年東京に生まれる。祖父団琢磨のこと、ともに生物学者であった両親のもとでの子ども時代のことなど、本書「おわりに」に詳しい。京都大学大学院理学研究科博士課程を修了して、大阪市立大学理学部助手、助教授、教授を勤める。著書に『動物の系統と個体発生』(東京大学出版会)『生物の複雑さを読む』(平凡社)『生物のからだはどう複雑化したか』(岩波書店)など。

著者のことば

自然が、地球が、生物が、必死で作り上げた「性」の奥行き、懐の深い面白さを伝えたかったのです。

編集者より

エディプスの物語から体外受精やクローンまで、精神の劇の最深奥にあり続ける「性」の、これが本質というべきものを、わかりやすく書いていただくという希望がかなえられました。「おわりに」と「あとがき」を、ぜひお読みください。

編集者より

「性の始まりは飢えだと最初から意表をつく。…遺伝子の解析が生物学の主流を占め、性の意味も遺伝子の多様化とされる中で、細胞が生きることのための工夫として全ての現象を見る、つまり複雑さそのものを見る視点を貫いている。そこで、有性生殖は、細胞が生きるための遺伝子の若返りと修復のためさ、という性のお話になる。」

(中村桂子・05・02・20付「毎日新聞」書評より)

:::

「書名や穏やかな語り口の文章に、手軽な解説書かと先入観を持ってはいけない。遺伝子が生命の主役であるかのような昨今の生物学の潮流に対し、細胞を主役の30年以上の研究を続けた団まりなさんは、性の始まりから生物の複雑さへと説き進め、皮相な誤解を正す。知的刺激に満ちた読み応えのある本だ。」

(05・03・06付「朝日新聞」「著者に会いたい」より)

:::

「この仕組みは20億年前、生存に危機にさらされた真核細胞が起こした“奇跡”に由来するという。自分の存在が少し誇らしくなってくる。」

(05・03・13付「読売新聞」書評より)

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「本書を読むと、遺伝子がすべてを決定しているかのような表現がいかに奇妙かがよくわかる。平易な語り口で書かれており、高校生の読者にもおすすめ。」

(「日経サイエンス」05年4月号「新刊ガイド」より)

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