叢書・エクリチュールの冒険

詩集
ステファヌ・マラルメ

¥2,200 (税別)

柏倉康夫[訳]

死後翌年のドゥマン版『詩集』を全訳

  • 刊行年月: 2018.08
  • B6変型判並製176頁
  • 本体価格2,200円
  • 18.8 x 11.8 x 1.5 cm
  • ISBN978-4-86503-056-3

ステファヌ・マラルメの死の一年後に刊行された『詩集』(エドモン・ドゥマン書店、1899年刊)収録の全49篇の詩と、マラルメ自身による書誌解題の新訳。「ユリイカ」誌連載、青土社電子版、限定私家版を経て、最新改訂普及版がここに成る。『詩集』の初版本や石版刷、組見本、マラルメの肖像、名刺や封筒に書かれた四行詩など、訳者秘蔵品を含む貴重な写真8点を併載。多年に及ぶ研究の画期を為す「理解可能なマラルメ」の提示。【叢書・エクリチュールの冒険:第11回配本】

目次

挨拶
不運
あらわれ
たわいない願い
懲らしめられた道化

花々
春の訪れ
不安
――苦い休息には飽きた……
鐘つき男
夏の悲しみ
青空
海からの風
ため息
施し物
詩の贈り物
エロディアード 舞台
牧神の午後
――髪 炎の飛翔は欲望の……
聖女
喪の乾杯
プローズ(デ・ゼッサントのために)
扇 マラルメ夫人の
もう一つの扇 マラルメ嬢の
アルバムの一枚
ベルギーの友たちの思い出
俗な歌
Ⅰ(靴直し)
Ⅱ(香草売りの女)
短信
小曲 Ⅰ
小曲 Ⅱ
いくつかのソネ
――闇が宿命の定めにより脅かしたとき……
――汚れなく、生気にあふれ、美しい今日は……
――勝利のうちに美しい自殺から逃れた……
――純らかな爪はその縞瑪瑙を高々とかかげ、……
エドガー・ポーの墓
シャルル・ボードレールの墓
墓 一周忌――一八九七年一月
礼讃
礼讃
――船旅のたった一つの気掛りに……
三幅対をなすソネ



――時の香りが染みこみ……
――君の歴史に入りこむのは……
――重く垂れこめた雲に沈黙し……
――パフォスの名に至って私は本を閉じ、……
書誌
訳者あとがき

紹介記事

  • 岡山茂氏書評(「図書新聞」2018年12月8日号「ジャーナリズムへと戻る回路――長年のマラルメ研究に一つの区切り」)
  • 立花史氏書評(「週刊読書人2018年10月12日号「「理解可能なマラルメ」を追求――一般読者に親しみやすい現代語訳を」)

正誤表

  • 104頁2行目
    誤)さまざまな百合の茎が私たちの理性とっては
    正)さまざまな百合の茎が私たちの理性にとっては

ステファヌ・マラルメ(Stéphane Mallarmé)
1842-1898。19世紀のフランス象徴詩を代表する詩人。若くしてボードレールとエドガー・アラン・ポーに魅せられて詩作をはじめ、地方の高等中学校の英語教師をしながら創作に没頭するが、「詩とは何か」という根源的な問いに苦しみ、精神的・肉体的な危機に見舞われた。1871年パリに出て以後は交友関係も広がり、「牧神の午後」や「エロディアード」など代表作となる絶唱を生み出した。ローマ通りのアパルトマンの食堂兼サロンに、毎週火曜日に内外の文学者、画家、音楽家たちが集うようになり、マラルメの談話は彼らに多大な感銘を与えた。その芸術論は今日なお広い分野で影響を及ぼしている。

訳者:
柏倉康夫(かしわくら・やすお)
1939年生。東京大学文学部フランス文学科卒業。NHKパリ特派員、解説主幹の後、京都大学文学研究科教授を経て、放送大学教授、副学長、図書館長、現在同大学名誉教授。京都大学博士(文学)。フランス国家功労勲章叙勲。ジャーナリズムでの仕事のかたわら、原典批判に基づくマラルメ研究を続けてきた。マラルメに関する著訳書に、『マラルメ探し』、『生成するマラルメ』(以上、青土社)、『マラルメの火曜会』(丸善出版)、ネクトゥ編『牧神の午後~マラルメ、ドビュッシー、ニジンスキー~』(平凡社)、J・L・ステンメッツ『マラルメ伝』(共訳、筑摩書房)、『マラルメの「大鴉」』(臨川書店)、モレル編『S・マラルメ:賽の一振りは断じて偶然を廃することはないだろう』、G・ミラン『マラルメの火曜会~神話と現実~』(以上、行路社)など。

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