叢書・エクリチュールの冒険

労働者 支配と形態
エルンスト・ユンガー

¥2,800 (税別)

川合全弘[訳]

労働・技術・動員をめぐって、到来する社会の相貌を微細に分析し、ハイデガーやナチスに衝撃を与えた問題作。
叢書エクリチュールの冒険、第五弾。

  • 刊行年月: 2013.8
  • 46判並製456頁
  • 本体価格2,800円
  • 19cm
  • ISBN978-4-86503-005-1

激しく変化する世界の中で、卓越した技術をたずさえた新しい人間たちが、来たるべき社会の担い手として登場する。見よ、利害の応酬の彼方から、市民的個人に代わって類型人が、市民的憲法に代わって労働計画が全地球を動員する時代がやってくる。震撼すべき未来の書として八十有余年もの時を越えて、本書は私たちの眼前にその巨大な翼の影を伴いつつ立ちはだかる。開け、この書物を。あなたの行く手を拓くように。【叢書エクリチュールの冒険、第五回配本】

原書:Der Arbeiter: Herrschaft und Gestalt, Hanseatische Verlagsanstalt, 1932.

目次

まえがき
第1部
第1章 見せ掛けの支配の時代としての第三身分の時代
第1節
第2章 市民的世界の鏡に映じた労働者像
第2節/第3節/第4節/第5節/第6節
第3章 部分の総和を超える全体としての形態
第7節/第8節/第9節/第10節/第11節/第12節
第4章 市民的空間への根源的な諸力の侵入
第13節/第14節/第15節
第5章 労働世界内では自由の要求が労働の要求として登場すること
第16節/第17節/第18節/第19節/第20節
第6章 労働者の形態の表現としての権力
第21節/第22節/第23節/第24節
第7章 様々な事柄に対する形態の関係
第25節/第26節/第27節
第2部
第8章 生活方法としての労働について
第28節/第29節
第9章 大衆と個人との没落
第30節/第31節/第32節/第33節/第34節/第35節
第10章 市民的個人に取って代わる労働者の類型
第36節/第37節/第38節/第39節
第11章 類型人の序列と個人の序列との相違
第40節/第41節/第42節/第43節
第12章 労働者の形態による世界の動員としての技術
第44節/第45節/第46節/第47節/第48節/第49節/第50節/第51節/第52節/第53節/第54節/第55節/第56節/第57節
第13章 労働世界の造形としての芸術
第58節/第59節/第60節/第61節/第62節/第63節/第64節/第65節/第66節/第67節
第14章 自由民主主義から労働国家への移行
第68節/第69節/第70節/第71節/第72節/第73節/第74節
第15章 社会契約に取って代わる労働計画
第75節/第76節/第77節/第78節/第79節
第16章 結語
第80節
全80節の概要
訳註
付録 著作集版のまえがき
訳者あとがき

紹介記事

  • 大竹弘二氏書評(「社会思想史研究」第38号[2014年9月発行])
  • 初見基氏書評(「週刊読書人」2013年10月4日号「いまだにアクチュアルな問題提起」)
  • ナガタ氏書評(「Book News」2013年8月24日付「労働という概念が放棄されたあとの現実を、読者の目に映す」)

エルンスト・ユンガー(Ernst Jünger)
1895-1998。ドイツの作家。二度の大戦に従軍し、体験記や日記を上梓。本書『労働者』(1932年)は、戦間期に書かれた『総動員』(1930年)に続くエッセイであり、その世界像は同時代に戦慄をもって迎えられた。無類の古書好きであり、昆虫好きでもある。主な著書の日本語訳に以下のものがある。『ヘリオーポリス』(全二巻、田尻三千夫訳、国書刊行会、1985-1986年)、『追悼の政治――忘れえぬ人々/総動員/平和』(川合全弘編訳、月曜社、2005年)、『ユンガー=シュミット往復書簡 1930-1983』(ヘルムート・キーゼル編、山本尤訳、法政大学出版局、2005年)、『パリ日記』(山本尤訳、月曜社、2011年)。

訳者:
川合全弘(かわい・まさひろ)
1953年生まれ。京都産業大学法学部教授。ドイツ政治思想史専攻。著書に『再統一ドイツのナショナリズム――西側結合と過去の克服をめぐって』(ミネルヴァ書房、2003年)、訳書にエルンスト・ユンガー『追悼の政治』(月曜社、2005年)がある。

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