|
|||
Digging my way to London 大竹伸朗、21歳、パンク吹き荒れるロンドンでみたものの大部分 2004年6月30日発売 B5判 ハードカバー 656頁(4C 144頁 1C 512頁) 定価7000円(税別) ISBN4-901477-12-9 |
|||
![]() |
|||
ロンドンへの穴掘り 大竹伸朗 1977年5月3日から1年あまりをイギリスで過ごした。 |
|||
|
|||
二度と出会うことはないであろうその男が手にした大量のマッチのラベルとの出会いは「貼る」という方法を今迄とは異なる角度から意識の中に引き込んだ。バラバラにぶら下がっていた「写真」と「絵」と「貼る」ことの間に何か引き付けあう力が生じたような、また自分の内側に流れる時間に触れた感覚とでもいうのか、ロンドンへ来て何か初めて前に進み出したようなそんな気がした。 | |||
![]() |
|||
「写真」と「絵を描く」こと、そして何かと何かを「貼る」ことが自分の中で密接に結びついていることを意識するようになるには、その出会いから数年の時間を要したと思う。 「貼ること」を「コラージュ」とかたずけてしまうのは簡単だが、自分にとって「貼ること」はどうもそう単純なものではないようだ。あれから27年経過した今でも自分の中にある「貼ること」への「わからなさ」の力によって今日もまた貼り込むことを繰り返している。しかしわからないながら、あの日以来自分のものであれ他人のものであれ、「写真」と「描く」ことは「貼る」ことと常に同時に在り続けていることは確かだ。「答え」というものは何事に於いても後から見てみれば全く呆気無く単純なことが多い。が、至近距離ほど見えにくいものでもある。 あの日ポートベローの見知らぬ男と出会った瞬間、「見つけた!」と思った答はその時、再び新たな疑問とわからなさに突入した時でもあったのだと思っている。 |
|||
|
|||
|
|||
大竹伸朗(おおたけ・しんろう) 1955年 東京生まれ。画家。74年、武蔵野美術大学油絵学科入学と同時に休学、北海道野付郡別海町の牧場で働く。その後、75年4月にかけて札幌、歌志内、砂川、滝川など回りながら絵を描き写真撮影をする。77年、再び休学、渡英。翌78年4月迄滞在。この間の写真、スケッチ、コラージュ作品をまとめたものが本著『UK77』となる。 82年に初個展開催以来、絵画、立体作品、版画、コラージュ、印刷物、パフォーマンス(音)、絵本、写真、エッセイなど幅広く活動。 画集、著書に『SO:大竹伸朗の仕事 1955ー91』(UCA)、『日本景/ジャパノラマ』(朝日新聞社)、『ジャリおじさん』(福音館書店)、『既にそこにあるもの』(新潮社)、『テレピン月日』(晶文社)、『18』(青山出版社)など多数。 |
Copyright (C) 2004 Shinro Ohtake & Getsuyosha Limited. All Rights Reserved.